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自己破産を考えています。①現金,②預貯金,③生命保険,及び④自動車があるのですが,破産した場合には,全て失うことになりますか。

よくあるご質問個人の債務整理・再生・破産

 法定自由財産である99万円までの「現金」や自由財産の範囲の拡張(破産法34条4項)がなされた財産については破産しても保有することができます。
 破産者に一定の資産がある場合,破産管財人が選任されます(「20万円以上の現金を債務者が有している場合は,いわゆる少額管財手続の最低予納金20万円を支弁できることから,管財事件としています」『破産管財の手引〔第2版〕』34頁)。
 破産者が,破産手続開始決定時までに保有していた財産は,破産財団となり,破産管財人が換価することになるのが原則です。逆に,破産手続開始決定以降に働いて得た収入は,新得財産といって,破産者が保有することができる財産となります。
 破産をした場合でも,99万円までの「現金」は法定自由財産とされているので,破産者は,これを保有することはできます。
 「預貯金」は,原則として破産財団に帰属することになりますが,「現金」が99万円までは法定自由財産とされていること等の対比から,99万円までの「預貯金」については,自由財産の範囲の拡張をして,破産者が保有することが認められることが多いです(なお,『破産管財の手引〔第2版〕』147頁では,「99万円までの現金が法定自由財産とされていることとの均衡のみを理由に拡張が認められるわけではないことに注意が必要です」とした上で,自由財産の範囲の拡張が相当か否かについては,①破産者の生活の状況,②破産手続開始時に破産者が有していた財産の種類及び額,③破産者が収入を得る見込み,④その他の事情を考慮して自由財産とすべきかどうかを総合考慮すると記載されています。)。
 例えば,「現金」が30万円,「預貯金」が,50万円あった場合,30万円の「現金」は法定自由財産として破産財団に帰属せず,50万円の「預貯金」は破産財団に帰属するものの,管財人の意見を聴いた上で,裁判官が自由財産の範囲拡張決定をすれば,破産財団に帰属するものではなくなりますので,破産者が保有できる資産となります。
 「生命保険」は,解約返戻金がなければ,特に,破産管財人が換価等することはありませんが,解約返戻金がある場合は,「預貯金」と同様に,保険をそのまま維持する必要性がある場合は,自由財産の範囲の拡張をすることが多いと思われます。「生命保険」については,特に高齢者や病気の方にとって解約することが酷な結果につながることが多いため,解約返戻金額が99万円を超える場合であっても,自由財産の範囲拡張が認められることもあります。
 「自動車」については,査定等を取得し,価値がない場合は,換価されず,破産管財人が破産財団から放棄等することが多いです(その結果,破産者が保有することができます。)。また,価値がある場合でも,通勤に必要である等の事情で破産者が「自動車」を保有する必要がある場合には,自由財産の範囲の拡張を行うこともあり得ます。

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★