イギリス刑事法紹介㉚〜厳格責任(Strict Liability)〜
イギリス法では、有罪とされるために故意が要求されないタイプの犯罪があります。これが、イギリスにおける刑事法上の「厳格責任(strict liability)」という概念です。
厳格責任により犯罪が成立する場合、事情を知らなくても有罪の判決を受けてしまうことになり、罪に問われた人には酷な状況が生じることがあり得ます。そのため、イギリスの判例法において、犯罪の成立には故意等の主観的要件が求められることは一般的に推定され、厳格責任が適用されるのは、あくまで立法などから明らかな場合に限られることが確認されています。
実際に厳格責任が定められている類型の犯罪として、各種の行政的な規制に違反することで課される罰則が挙げられ、刑罰も比較的軽微なことがほとんどといえます。
そのため、殺人や窃盗など、典型的な犯罪の場合に厳格責任の法原則が適用されることは通常ありません。ただし、13歳未満の者に対する性犯罪については、立法により、年齢に関する認識について厳格責任が適用されることが確認されています。つまり、仮に性行為の相手が13歳未満であることを知らなかったとしても、有罪になり得ることになります。
日本の刑事手続においては、有罪の判断をするためには常に故意や過失などの主観的要件が必要とされるため、イギリスにおける厳格責任のような考え方はどのような類型の犯罪でも取られていません。厳格責任は、イギリス刑事法における特徴の1つと言えます。
※本稿におけるイギリス法の説明は、イングランド及びウエールズ圏内において適用される法規制に関するものです。
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法律事務所シリウス 弁護士 中井淳一
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★




