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危険運転に関する法制審の動向

2026.06.02ブログ

2026年5月

弁護士 虫本良和

 

 2025年(令和7年)3月から、法制審議会に設置された刑事法(危険運転による死傷事犯関係)部会の第8回会議が令和7年12月25日に開催され、要綱(骨子)案が、部会意見として決定しました。そして、この要綱(骨子)は、2026年(令和8年)2月12日に開催された、法制審議会総会(第204回会議)で、全会一致(棄権1名)で採択されたことから、今後の国会で、この要綱(骨子)を内容とする法案が提出され、審議される見込みとなっています。

 

 要綱(骨子)は、以下のとおりですが、現行法で危険運転に該当する行為とされている「飲酒類型」と「高速度類型」について、ある一定の数値を超えた場合には、ただちに危険運転に該当するものとみなす数値基準(形式基準)とそれらに準じる場合にも危険運転が成立するという実質基準が、併存的に設けられたことが特徴です。

 形式基準に係る具体的な数値ですが、「飲酒類型」では、呼気1リットルあたり0.5mg(血液1ミリリットルあたり1.0mg)以上のアルコールを有する状態が、危険運転にあたるとされています。

 「速度類型」では、①最高速度が時速60キロメートル以下の道路の場合は超過速度が時速50キロメートルを超える場合、②最高速度が時速60キロメートルを超える道路では超過速度が時速60キロメートルを超える場合に、危険運転にあたるとされています。

 

【要綱(骨子)】

一 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期拘禁刑に処するものとすること。

1 アルコール影響正常運転困難状態(身体に血液一ミリリットルにつき一・〇ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・五ミリグラム以上にアルコールを保有する状態その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態をいう。二において同じ。)で自動車を走行させる行為

2 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ当該イ又はロに定める速度以上の高速度その他道路及び交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度(次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ当該イ又はロに定める速度に準ずるものに限る。)で自動車を運転する行為

イ 道路交通法第二十二条第一項の規定によりこれを超える速度で進行してはならないこととされている最高速度(以下「最高速度」という。)が六十キロメートル毎時を超える場合最高速度を六十キロメートル毎時超える速度

ロ 最高速度が六十キロメートル毎時以下である場合最高速度を五十キロメートル毎時超える速度

3 殊更にタイヤを滑らせ又は浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて、自動車を走行させる行為

 

二 アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、アルコール影響正常運転困難状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は十五年以下の拘禁刑に処するものとすること。

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★