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所有者不明土地に関する改正法が成立しました(2)〜共有規定の改正〜

2021.06.22ブログ

先日お伝えしました所有者不明土地に関する改正法について、数回にわたって内容をお伝えしたいと思います。

今回は、共有規定の改正の概要です。
今回の改正により、所有者不明土地に関連し、概要以下のような改正がされました(共有物に関する改正は以下の点に止まりませんが、特に所有者不明土地に関連していると考えられる内容をお伝えします)。

 共有者が一部の共有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、一定の条件の下に以下のような裁判ができるようになりました。  

①共有物の変更(不明な共有者以外の共有者の同意が必要などの条件があります。)(改正民法251条2項)
②共有物の管理に関する事項の決定(不明な共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することができるとの裁判を求めることができます。なお、共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を要します。)(改正民法252条2項、3項)
   ※共有物の管理に関しては、一定期間内に管理に関する事項の賛否を明らかにしない共有者がいるときも,同様の裁判を利用することができます。

 共有物の管理行為として共有物の管理者を選任することができることを明記し(改正民法252条)、管理者に関する規定を整備しました(改正民法252条の2)。

 不明な共有者の持分について、裁判所は、共有者の請求により、一定の条件の下、請求した共有者に持分を取得させたり(改正民法262条の2第1項)、不明な共有者の持分を第三者に譲渡させる権限を付与する(改正民法262条の3第1項)ことができるようになりました。

※1①の共有物の変更とは、農地を宅地に造成するなどの物理的な変更や、長期の賃貸借契約を締結するなどの法律的な変更を言います。
※1②の共有物の管理とは、変更に至らない利用・改良行為を言います。今回の改正では、管理行為の内容を従前よりも詳しく記載しました。特に、一定の期間内の賃借権等の設定を管理行為として行うことができることを明示しました(改正民法252条4項)。

今回の改正を機に、不明な共有者がいる土地の有効活用や共有関係の解消がしやすくなったと言えます。

2021年6月

弁護士 濟木昭宏

【前記事】所有者不明土地に関する改正法が成立しました(1)

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★