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「SBS理論」に対する疑問(SBS②)

2020.07.21ブログ

2020年7月21日 

弁護士 虫 本 良 和

「SBS理論(仮説)」とは、簡単にいうと、頭部の外表など外観上は目立った怪我がないのに、①硬膜下血腫、②網膜出血、③脳浮腫の3つの症状(三徴候)があれば、暴力的な揺さぶり行為(虐待)によってそれらの症状が発生したものだと推測できるという理論です。このような理論は、もともとアメリカやイギリスの医師から提唱されるようになったものです。

しかし、遅くとも2010年代には理論発祥の地であるアメリカ・イギリスの他、カナダやスウェーデン等でも、SBS理論に対する疑問が多くの医師から述べられるようになっています。そして、SBS理論に基づいて捜査対象とされたり、刑事裁判にかけられた多くの事件で、無罪判決や起訴の取り下げ或いは再審等での見直しがなされることとなりました。

重要なのは、SBS 理論が提唱する三兆候とは、あくまで「虐待が存在する場合に三徴候が認められることがある」というものに過ぎず、「三徴候が認められれば虐待が存在する」という関係にはないという点です。「逆は必ずしも真ではない」というのは、論理学の初歩的な考えです。現在、上記各国では、SBS理論のみを根拠に訴追がなされるべきではないという考えは、定説となりつつあります。

(詳細は「SBS検証プロジェクト」のサイトにも掲載されています。)

https://shakenbaby-review.com/theory.html

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★