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罰金を払うお金が用意できないのですが,どうしたらいいでしょう? 労役場留置を避ける方法はありませんか?

よくあるご質問刑事事件

1検察庁のホームページには,「罰金は裁判により刑罰として科せられたものであり,必ず,所定の期間内に検察庁に納付しなければなりません。」,「罰金などの徴収金を任意に納付しない場合は財産に対し強制執行を行います。また,罰金・科料を納付せず,強制執行をすべき財産がない場合には,労役場に留置されることになります。」と書いてあります。
 労役場留置というのは,罰金を納めない人を刑事施設(刑務所)内の労役場に留置して作業を行わせることです。傷害事件・交通違反などの裁判においては1日あたりの留置を罰金5,000円相当と換算されることが多いので,例えば罰金20万円であれば労役場に40日間留置される計算になります(刑法18条1項で労役場に留置できる最長は2年間と制限されています。)。
 このように,検察庁は,罰金を払うお金がなく,強制執行される財産もない場合には,問答無用で労役場に留置するという態度を表明しています。
2しかし,実際には,交渉次第で,罰金の分割払いを認めてもらったり,納付期限の延期を認めてもらったりすることがあります。
 その根拠は,法務省の定める徴収事務規程(以下,「規程」と言います。)という,罰金などの徴収金を収納するためのルールに明確に定められています。
 例えば,規程16条には,「徴収金について納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があった場合において,徴収主任は,事情を調査し,その事由があると認めるときは,一部納付願を徴して検察官の許可を受けるとともに,検察システムによりその旨を管理する。」と,徴収主任(検察事務官)が事情があると認めれば,分割払いに応じられること前提とした規程が定められています。
 また,規程17条には,「徴収金について納付義務者から納付延期の申出があった場合おいて,徴収主任は,事情を調査し,その事由があると認めるときは,検察官の許可を受けるとともに,検察システムによりその旨を管理する。」と,徴収主任が事情があると認めれば,検察官の許可を受けて納付期限の延期に応じられることを前提とした規程が定められています。
 実際問題,労役場で与えられる仕事は賃金の安い軽作業等が多く,その間の食費や施設維持費などの経費を考えると,1日5,000円相当の換算では赤字になってしまうことが多いので,労役場に留置するよりは,分割払いや納付期限の延期に応じてでも,実際に現金等で罰金を納付してもらった方が好都合な場合が多いのです。
3とはいえ,検察庁が罰金の分割払いや納付期限の延長に安易に応じてしまうと,誰も彼もが,分割や納付期限の延長を希望してしまうことになりかねません。
 そうなると,罰金の感銘力(罰金刑を受けたこと心に受け止め二度と悪いことはしないと肝に銘じる力)が希薄になり,罰金の刑罰としての効果が薄れてしまう危険があります。
 そのため,罰金等の徴収主任は,建前上は,罰金の分割払いや納付期限の延長には応じない姿勢を取っており,納付期限が過ぎれば,督促状(規程15条)で罰金の納付を促します。
 これに対し,窓口や電話で一方的に「罰金は払えない!」と言い張っても,おそらく徴収主任は動じず,なかなか,罰金の分割払いや納付期限の延期に応じてくれないでしょう。
 罰金の分割払いや納付期限の延長を認めてもらうためには,罰金をすぐに払えないこと一方的に強弁するだけでなく,「毎月幾らずつであれば払うことができる」,「いつまで待ってもらえれば一括納付が可能である」といった納付の見通しについて,具体的で説得力のある理由を説明する必要があります。
 これらを丁寧に説明して徴収主任を説得し,「事情がある」と認められた場合には,罰金の分割払いや納付期限の延長が認められるでしょう。
 法律事務所シリウスの弁護士は刑事事件に精通しており,こういった困りごとについても適切なアドバイスができます。

2020年5月1日

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★