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災害関連ブログ(3)

2019.10.31ブログ

【相談事例3】
 
 事業を営んでいたが台風の被害で事業を縮小せざるを得なくなった。
 従業員の給料もこれまでどおり払えないので,減額して支払おうと思うが,問題ないか。
 
【回答】
 
 使用者が労働条件を変更する場合には,労働者との合意による必要があります(労働契約法8条)。そのため,従業員が給料の減額に合意しない場合に,使用者が勝手に給料を減額して支払うことはできないのが原則です。
 労働者との間での個別の合意によらずに,就業規則を変更することにより,労働者の不利益に労働条件を変更することも,原則としては認められていません(同法9条本文)。 ただし,その変更が,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性,労働組合との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであり,変更後の就業規則を労働者に周知させている場合には,個別の合意によらずに,労働条件を変更することができます(同法9条ただし書き,10条)。
 上記規定のように,変更が合理的なものといえるかどうかは,あくまで個別事案において具体的に判断されるものですが,会社の業績が具体的にどの程度悪化したのか,特定の従業員のみについて合理的な区別なく減額がなされていないか,どの程度の減額か等を諸々の事情を考慮して判断されることになります。
 あくまでも労使間の合意によることが原則的な処理であることを考慮して,慎重な取扱いが必要となることに注意が必要です。

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★