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民法改正シリーズ ~保証契約における情報提供義務~

2017.12.27ブログ

民法の改正により,大幅に変わる分野のひとつが,保証の分野です。
保証契約の締結に先立ち,公正証書の作成が必要となることは前回のブログでお伝えしましたが,さらに保証の分野で大きな意味を持つのが,情報提供義務に関する規定です。
情報提供義務は,これまで民法に明文で規定されておらず,判例等で認められてきたものですが,今回の改正で,保証の分野においてのみ,明文化されることになりました。
具体的には,以下の規定が置かれることになります。

① 保証契約締結の際の情報提供義務
まず,保証契約締結の際の情報提供義務について,規定が置かれます。
具体的な内容は,事業のために負担する債務の主たる債務者は,保証の委託を受ける者(法人を除く。)に対し,資産,収入,支出,債務の負担状況,他の担保の有無及び内容等について情報を提供しなければならない,というものです(改正民法(以下省略。)465条の10第1項)。
そして,主たる債務者が情報を提供せず,債権者がそのことを知り又は知ることができたとき等は,保証人は保証契約を取り消すことができます(465条の10第2項)。
主債務者の経済状況に関する情報が保証契約の締結にあたって重要であることはいうまでもなく,「絶対に迷惑はかけないから」という殺し文句だけで保証契約が締結されることが,今後減っていくことが期待されます。

② 保証契約締結後の情報提供義務
改正民法はさらに,保証契約締結後において,債権者に対して,情報提供義務を課しています。
まず,債権者は,保証人から請求があった場合,保証人に対して,主たる債務の履行状況について情報を提供しなければならないとされます(458条の2)。
また,債権者は,主たる債務者が期限の利益を喪失したときは,保証人(法人を除く。)に対し,期限の利益の喪失を知った時から2ヶ月以内に,その旨を通知しなければなりません(458条の3第1項)。かかる通知をしなかったときは,債権者は,通知を怠った期間の遅延損害金を保証人に請求することができないとされます(458条の3第3項)。
 これらはいずれも,債権者に情報提供義務を負わせることで,保証人を保護することを目的とした規定といえます。