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判例紹介(令和7年11月27日最高裁決定)

2026.04.07ブログ

2026年3月

弁護士 虫 本 良 和

 

 2025年(令和7年)11月27日、最高裁第一小法廷は、医療関連商品の製造販売等を営む会社の営業所長であった被疑者が、医師に対して職務に関する賄賂を供与したとする贈賄事件に関して、原々審の勾留請求却下決定を取り消して勾留を認めた原決定について、刑訴法60条1項、426条の解釈適用を誤った違法があるとして取り消し、被疑者を釈放する判断を行いました。

 

 原々審は、勾留の必要性がないとして勾留請求を却下する裁判を行っていたところ、原決定は、「本件事案の性質・内容(対向犯である上、更に多くの関係者が様々な立場で関わっていることや、被疑者と関係者らとの人的関係等)、被疑者や関係者らの供述内容及び供述状況に加え、想定される争点について関係者らの供述による立証が重要となる証拠構造、原々裁判時における捜査の進捗状況等を踏まえると、被疑者が関係者と通謀するなどして、罪体及び重要な情状事実について罪証を隠滅するおそれがあり、このようなおそれは、被疑者が罪証隠滅行為に及ばない旨誓約しているなどの事情のみからは否定できず、被疑者の捜査に対する対応状況等も踏まえると、逃亡のおそれもないとはいえず、勾留の必要性も認められる」として、罪証隠滅のおそれが高度であることを前提に、原々裁判を取り消していました。

 

 この原決定に対して、最高裁は、「本件において勾留の必要性の判断を大きく左右する要素は、罪証隠滅の現実的可能性の程度であると考えられる。この点につき、記録によれば、原々裁判は、原決定指摘の事情も考慮の上で、罪証隠滅の現実的可能性を肯定しつつ、客観的証拠の収集及び客観的証拠を踏まえた関係者らからの事情聴取が相当に進んでいること、被疑者自身も数か月にわたって任意の取調べにおおむね応じていたこと、被疑者が既に上記会社を退職しており、同社関係者が従前の供述を翻して被疑者に有利な供述をするというような強い関係性まではうかがわれないことに鑑みて、罪証隠滅の現実的可能性が高くはないと判断したものと認められる。このように、原々裁判の判断は、一件記録に基づき、罪証隠滅の現実的可能性の程度を基礎付ける事情を具体的に検討した上でされたものであって、その判断理由にも一定の合理性があるといえる。しかるに、原決定は、罪証隠滅の現実的可能性の程度について、原々裁判が判断の基礎としたものとほぼ同一の事情を指摘するのみで、これらの事情に関する原々裁判の評価が不合理であるとする理由を実質的に示すことができていないといわざるを得ず、原々裁判と異なる判断をした理由を示したものとはいえない。そうすると、勾留の必要性を否定した原々裁判を取り消して、勾留を認めた原決定には、刑訴法60条1項、426条の解釈適用を誤った違法があり、これが決定に影響を及ぼし、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。」との理由を示し、「本件について勾留請求を却下した原々裁判に誤りがあるとはいえない」と判断し、原決定を取り消す決定(本決定)を行いました。

 

 この判例は、最高裁判所の、ウェブサイトで確認することができます。

(最高裁URL)

https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-95139.pdf

以上

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★