【重罪の保釈】重罪とされる強制性交等事件で保釈が認められた事案
取扱事案
依頼者は、強制性交等事件で起訴されました。
強制性交等罪は、法定刑が5年以上の有期懲役刑とされる重罪であり(刑法177条)、依頼者は、裁判を受けて有罪となれば、相当長期間の服役をしなければならない立場にありました。
そこで、依頼者及びその家族は、服役前に保釈を得て「身辺整理」をした上で、後顧の憂いなく服役を迎えたいという希望を持っていました。
結果
依頼者は保釈となりました。
ポイント
強制性交等罪は、上記の通り、短期1年以上の懲役に当たる罪であるため、そのような重罪を犯した者については、保釈は認められないのが原則です(刑訴法89条1号)。
それでもなお、保釈を希望する場合、裁判所の裁量による保釈(刑訴法90条)を求める必要があります。
この場合、裁判所は、被告人の罪証隠滅や逃亡のおそれの程度(保釈の許容性)と、身体拘束により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御上の不利益の程度など(保釈の必要性)を比較して、被告人を保釈するかどうかを決めることになります。
そこで、本件では、保釈請求に当たり、依頼者が事実を認めていることのほか、依頼者の家族が依頼者を監督することを約束し、更には弁護人が被告人の運転免許証やスマートフォンを預かることなどをも裁判所に約束することで、罪証隠滅や逃亡ののおそれが相当低いこと(保釈の許容性)を具体的に主張しました。
その上で、依頼者が服役前にやっておかなければならないこと(依頼者夫婦が購入した自宅の売却、妻との関係や幼い子供の養育に関する話し合い等)を具体的に主張し、その必要性に関する資料をも提出した上、これらの作業は身柄拘束下では十分に行えないこと(保釈の必要性)を、具体的かつ丁寧に主張しました。
これにより、依頼者は、保釈を得ることができました。