ソリシタとバリスタの違い
イギリス法では、弁護士資格が2種類に分かれています。
1つは、ソリシタ(Solicitor)で、日本語では「事務弁護士」などと訳されることが多いです。ソリシタの仕事は多岐にわたりますが、契約書や遺言の作成といった書類作成業務が伝統的にはメインの業務領域と考えられていました。ソリシタの登録数は非常に多く、統計によれば、2024年時点で、17万人以上が実働するソリシタとして登録されています。
もう1つは、バリスタ(Barrister)で、こちらは「法廷弁護士」などと訳されます。訳語のとおり、バリスタは基本的に法廷活動のみを行う弁護士であり、業務領域は限定的です。2024年時点の統計では、実働するバリスタとして登録されているのは訳1万8000人で、ソリシタと比較すると人数が少ないことが分かります。
近年では、一定の条件の下、ソリシタにも法廷での弁護活動を行うことが認められています。こうしたことなどから、ソリシタとバリスタの区別は徐々に薄れつつあり、弁護士資格を統一すべきとの議論も長年存在するようです。
なお、私自身が有するイギリスの弁護士資格は、ソリシタの資格です。
ソリシタ登録者には、私のようにイギリス以外の法圏で実務を行っている弁護士も、一定数いるのではないかと思われます。
※本稿におけるイギリス法の説明は、イングランド及びウエールズ圏内において適用される法規制に関するものです。
弁護士/英国弁護士 中井淳一
https://japanese-lawyer.com/
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★




