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菅野亮弁護士の論考(ケース研究・責任能力が問題となった裁判員裁判の弁護士コメント)が季刊刑事弁護123号に掲載されました

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2025年7月
弁護士 菅 野  亮

 季刊刑事弁護では、責任能力が問題となった刑事裁判のケース研究が連載されています。

 この連載は、日弁連と司法精神医学会で、ケース研究会を定期的に行い、そこでの議論などを参考に、①担当弁護人が活動報告し、②精神科医と③弁護士がコメントを行うものです。

 今回のケースは、通り魔事件で心神喪失・無罪(診断は、統合失調症・境界知能)となった殺人未遂等の事例でした(判決はLEX/DB25572960に掲載、論考は季刊刑事弁護123号172頁)。

 精神科医の大澤達哉先生が医師のプレゼン形式の尋問について、以下のとおりコメントされており、実務において、わかりやすさを求めるあまり、不正確な伝え方にならないよう注意したいところです。

「本報告では36枚のスライドを用いて1時間にわたって詳細に報告された。表やグラフもあるがほとんどは文字のみのスライドで、一見して1枚の中の文字数が非常に多いものであった。実際の説明はどのように行われたか筆者には不明だが、市民が裁判員を務める裁判員裁判ではもう少し情報量を減らす工夫が必要だったのではないかと思う。そのためにも争点を整理する公判前のカンファレンスを有効に活用する必要がある。また、本件プレゼンテーションでは、今はやりのケースフォーミュレーションが用いられ、色鮮やかに多くの精神症状や各出来事が矢印で結ばれたスライドが示された。確かに視覚的な効果から、文字だけの情報よりも理解を促進するものであるが、文字の大きさや矢印の太さなどから誘導的になりうるものであることに注意する必要がある。」

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★