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大麻に関する法改正(2023年(令和5年)12月6日改正「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」)について その③

2025.02.04ブログ

2024年12月

弁護士 虫 本 良 和

 

 2023年(令和5年)12月6日に成立した「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」により大麻に関する法規制が大幅に変更されました。
 2024年(令和6年)12月12日から施行されている、主な改正内容を紹介します。 (その①はこちらその②はこちら

 

3 大麻施用罪(使用罪)の適用(新設)及びその他の行為に係る法定刑の引上げ

 

 改正前の大麻取締法には、大麻の使用に関する罰則はありませんでした。
理由として、宗教的儀式等で使用される大麻を栽培する従事者に配慮したという説明や、種子や成熟した茎など規制対象となっていない部位から吸引等をした場合との区別がつかないためという説明がなされていたようです。
 しかし、令和3年から厚労省が開催する専門家らによる検討会等で、大麻規制に関する議論が広く進められる中で、近年、薬物事犯のうち大麻事犯の検挙人員が増加し高い水準で推移していること、特に、若年層において、大麻事犯が薬物犯罪のきっかけとなるケースが多く、大麻に使用罪がなく「ハードルを下げている」ことがその原因であるとの意見があったこと等を受けて、本法改正で、大麻の「使用」が犯罪として処罰されることとなりました。
 
 この点、正確には、「大麻使用罪」という犯罪が新たに作られたという訳ではなく、大麻(及び大麻成分)が、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)上の「麻薬」に位置づけられると定義づけられたこと(大麻に関する法改正(2023年(令和5年)12月6日改正「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」)について その② 参照)」)に伴い、麻向法に従前から存在した「施用罪」が、大麻にも適用されることになったというものです。
 改正後の麻向法は「麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方箋を交付してはならない(略)」(27条1項)と定め、「違反した者は、7年以下の懲役に処する」(66条の2第1項)、「営利の目的で前項の違反行為をしたときは、当該違反行為をした者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する」(同2項)と定めています。

 なお、改正前から大麻取締法により処罰されていた各行為(所持、譲り渡し・譲り受け、輸出入等)についても、大麻が麻向法の規制対象となることに伴い、実質的に法定刑が引き上げられたのと同様の改正がなされていることに留意が必要です。
 具体的には、以下のとおりです。

① 所持、譲り受け・譲り渡し
(営利目的なし)
・改正前「5年以下の懲役」
→改正後「7年以下の懲役」(麻向法66条1項)
(営利目的あり)
改正前「7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」
→改正後「1年以上10年以下の懲役、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」(同2項)

② 輸出入、製造
(営利目的なし)
改正前「7年以下の懲役」
→改正後「1年以上10年以下の懲役」(65条1項)
(営利目的あり)
改正前「10年以下の懲役、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」
→改正後「1年以上の有期懲役、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」(同2項)

 

(URL)

法律要綱(厚労省ウェブサイト)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001302630.pdf
新旧対照条文(厚労省ウェブサイト)
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001302632.pdf

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★