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量刑問題研究会の研究成果(第1段)が季刊刑事弁護117号に掲載されました。

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2024年1月29日 

弁護士 菅 野  亮 

 

 刑事弁護に熱心に取り組むメンバーで、量刑問題研究会をつくり、株式会社TKCの賛助や刑事法学者の助言をいただき、量刑に関する議論をしています。

 量刑問題研究会のメンバーは、岩本憲武弁護士(埼玉)、大橋君平弁護士(東京)、金岡繁裕弁護士(愛知)、高村樹世土弁護士(愛知)、髙山巌弁護士(大阪)と私です。刑事法学者の城下裕二教授と松宮孝明教授にも参加いただき、貴重なご意見をいただいています。

 量刑問題研究会では、「重罰化要因となる社会的類型の研究」をしています。連載初回は、「被害者1名の通り魔・無差別殺人(上)」(岩本憲武弁護士)を季刊刑事弁護117号(106頁)に掲載させていただきました。

 「Chat GPTに、埼玉で発生した通り魔事件について教えてほしいと尋ねると、即座に『熊谷市女性刺殺事件:2020年1月27日、埼玉県熊谷市で、男が刃物を持って通行人を襲撃し、女性1人を刺し殺した事件です。』(略)裁判の結果を問うと『判決では、犯人の犯行は残忍で、無差別かつ非常に悪質なものであったとして、厳しい刑罰が必要であるとされました。また、犠牲者の家族や地域住民に与えた影響も考慮され、犯人に対しては無期懲役が言い渡されました』と教えてくれた。」

 もちろん、これは、AIのもっともらしさの検証であり、実在しない事件です。

 ただ、確かに、「通り魔・無差別」と分類される事件類型は、死亡被害者が1名の事件でも、怨恨等の理由で死亡被害者が1名である事件類型よりも、量刑が重く、前者においては無期懲役刑が選択されることが多い実情があります。

 しかし、人の生命を保護法益とする殺人事件において、被害者1名でありながら、なぜ、怨恨で殺害した事件が相対的に軽く、無差別だと相対的に重いのか、その点については、実務において理論的に正当化できるのか疑問があった部分です。

 このように、刑事裁判では、一定の「重罰化要因となる社会的類型」があり、その内実を違法性・有責性の観点から検討したのが、本研究の狙いです。連載では、「通り魔・無差別殺人類型」、「指導的・被指導的関係性にある当事者間の性犯罪」、「特殊詐欺」について検討をしていく予定です。

 興味のある方は、是非、金岡繁裕弁護士による「連載の趣旨」をご覧ください。

以上 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★