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イギリス刑事法紹介⑩~陪審の評決~

2023.06.27ブログ

 イギリスの刑事裁判において犯罪の成立が争われた場合には、一般市民12名からなる陪審が有罪・無罪の評決を行うことになります(ただし、一定の軽微な犯罪については、法律の専門家ではない治安判事(magistrate)による判決が下される場合があります。)。

 伝統的には、陪審の評決は全員一致であることが求められており、全員一致の結論に至るまでは評決を行うことができませんでした。
 しかし、陪審員間の脅しや買収の危険性、極端な見解を持つ人物が陪審になった場合に評決に至らないなどの問題が指摘され、1967年に多数決による評決が導入されました。ただし、単純多数決での評決が導入されたわけではなく、通常12人から構成される陪審のうち、反対意見が2名までに留まった場合には評決ができることになります。
 このようなルール変更に対しては、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を薄めてしまうものであるとの批判もあるようです。
 (なお、以上の記載はイングランド・ウェールズ圏内における裁判手続に関するものであり、スコットランドでは単純多数決による評決が認められます。)

 陪審裁判は、”自由が生きていることを照らすランプ”と描写されるなど、イギリス国内では、市民の権利を守るための重要な制度であると一般的に理解されています。
 現在でも単純多数決による評決を避け、8割以上の意見の一致を求める点にも、刑事裁判の原則を尊重する確固たる態度が見て取れるといえます。
 

※本稿におけるイギリス法の説明は、イングランド及びウエールズ圏内において適用される法規制に関するものです。

 

弁護士/英国弁護士 中井淳一
https://japanese-lawyer.com/

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★