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刑事事件の裁判を傍聴しました

2022.12.15ブログ

2022年12月

新人事務員

 

先日、刑事事件の裁判を初めて傍聴させていただきました。

法律事務所の事務員として、弁護士がどのように法廷に臨んでいるか、どのように刑事裁判は進行していくのか、を知るための傍聴でしたが、軽い気持ちではもちろん臨んでいませんでしたが、なんとも自分でも整理のつけようのない感情が起こってしまい、自分を落ち着かせるためにかなり時間が掛かってしまいました。

改めて重い仕事に携わらせていただいている実感と身の引き締まる思いでしたので、そのときに感じた事を素直に書かせていただこうと思います。

 

刑事事件において弁護士は被告人、つまり罪を犯したであろう人物の弁護をします。被害者にとっては憎むべき相手であり、世の中的には悪者や敵と表される存在を弁護する立場です。

どういった見方をしたら良いのかと、事務所に就職したばかりの当初も困惑してしまっていましたが、被告人は裁判で有罪が確定されるまでは無罪と推定されるため、次のような目的で刑事弁護というものが必要になります。

①無実の人が有罪にならないように(えん罪)、②有罪だとしても不当に重く罰せられないように。そして③捜査も裁判も適正な手続きが保障されなければならないため、偏らないために、弁護士が弁護人として被告人をサポートします。

つまり、被告人の権利を守り、適正手続を確保することが刑事弁護の目的となるのです。

 

初めて刑事裁判を傍聴するため、第一回の公判を傍聴させていただきました。

流れとしては次の通りです。

まず、冒頭手続。起訴された人間がこの場にいる被告人に間違いないかという人定質問、これは裁判官から被告人に、名前・生年月日・本籍地・今の住所・職業を聞かれます。

次に犯した罪の内容を検察官が読み上げる起訴状朗読。そして裁判官から被告人に対して黙秘権などの権利告知があり、被告人は起訴内容に間違いないかを聞かれます。

 

今回、被告人は罪を認めており、起訴事実などに争いがないとして、流れとしてはとてもスムーズで、検察側弁護側それぞれ論告弁論を行って、もう次回には判決公判の予定というもので、刑事裁判を理解するための傍聴の内容としては、見やすかったものだと思います。

ただ、テレビドラマを見ているわけではなく、現実に起こっているものが目の前で展開していることに、なんとも言い表せない感情が心をえぐるというか、とにかく気持ちが悪くなってしまいました。

気持ち悪いという表現もどうかと思いますが、かわいそうとか憎らしいとかそういう感情ではなく、もしかしたら、自分が被告人としてあの場に立ったとして、誰もが自分の犯した罪について話している、自分の生い立ちや家族のことまで話している状況が、辛いと思ったのかもしれません。

または、あまりにスムーズに裁判が進んで、被告人はちゃんと自分のことだということを認識できているのだろうか、その場しのぎで片付けようとしていないだろうか、これで人生が決まってしまうというのに、という恐怖心だったかもしれません。

(スムーズに進むことは悪いことではなく、公判までの間に何度も弁護士が被告人に接見し証拠資料を調べ準備をしっかり整えて裁判に臨んでいることは付言しておきます。)

 

被告人に対して感情移入したわけではありません、罪を犯した先には必ず被害者の存在があり、被害者の悲しみや怒りは計り知れないと思います。

ただ、今回の被告人の言葉でとても強く印象に残った言葉がありました。

『孤独』です。ともだちがいない、ずっとひとり、寂しい、孤独が辛い、というものでした。

何をきっかけに犯罪に手を染めるかは人それぞれだとは思います。ただ、その根源は孤独なのでは、と強く感じました。

悪いことを悪いと知らせてくれる大人が周りにいなかった、悩みを打ち明けられる友達がいなかった、自分をちゃんと見てくれる人がいなかった、そんな孤独からいつしか犯罪の道に迷い込んでしまったのでは、と思うのです。

そして、その孤独感は私たちの心の持ち方で、人との関わり方で、少しずつでも減らすことはできないか、と。

まずは自分の家族、友達、同僚、身近な存在をしっかり認めて、認め合って、孤独という思いを小さくしていけたら、罪を犯し、人を傷つけ、裁判に立ち、刑務所に入るという道は避けられるかもしれない。

罪を認め更生することはとても大事です。ただ、罪を犯す前に踏みとどまれる人であってほしい。それはその人だけの問題ではない、私たちの身近に起こりうることだと誰もが思い、人を大事に出来たら。

自分が、または大事な誰かが、孤独のせいで知らないうちに犯罪者となっているかもしれない。その恐怖心が気持ち悪さとなって、訳もわからず涙が勝手に流れたのかも知れません。

どうか自分を大切に、周りの人を大切に、これが、今回傍聴させていただき一番に感じたことでした。

 

もちろん私の立場としては、法律事務員として、刑事弁護をする先生方が被疑者や被告人の人権を守り適正な弁護をしていく上で、スピードを持って先生の指示を的確に理解し、緊張感を持って仕事に臨むことが大切と強く感じました。

当事務所の弁護士はどんな事件の被告人であっても、その被告人の話をよく聞いた上で、最良の方法で刑事裁判に臨んでいることが見ていてわかります。

罪を犯さないことが一番ですが、なにかお困りがありましたら、刑事弁護を専門とする弁護士がそろっておりますので、ご相談いただけたらと思います。

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★