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万引で捕まりました。捕まったのは4回目です。今度こそ刑務所に入れられてしまうのでしょうか?

よくあるご質問刑事事件

1 万引は窃盗罪に当たり,その罰則(法定刑)は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています(刑法235条)。
 また,万引を繰り返し刑務所への入出所を繰り返していると,常習累犯窃盗罪という更に重い罪に問われてしまうこともあります(盗犯等ノ防止及び処分ニ関スル法律3条:法定刑は3年以上の有期懲役)。
 仮に常習累犯窃盗罪に問われると,缶ジュース1本の万引であっても,起訴されて有罪となれば,最低3年間は刑務所に行かなければならなくなります。
 他方,仮に万引が見付かっても,1回目は警察で厳重注意を受けて終わり(微罪処分),2回目は検察庁で厳重注意を受けて終わり(起訴猶予処分),3回目は罰金20万円くらいを払えば終わり(略式命令)という感じで,最初はなんとなく許されてしまいます。
 そのため,残念ながら,万引を繰り返すことを甘く見てしまっている人もいるのです。
 そして,4回目に捕まった時に,警察官から「今度は起訴されて刑務所かも知れないね。」と説明されて,はじめて,万引を甘く見ていたと後悔することになります。
 とは言え,まだ遅くはありません。
 もう一回だけ罰金で許してもらうか,仮に起訴されても確実に執行猶予判決を得られるよう,次の二つの対策をすることをお勧めします。

2 対策1(原因の把握と再犯防止策の実行)
 万引を繰り返す原因には,さまざまなものが考えられます。
 万引を繰り返す原因の中で最も深刻なのは,窃盗症(クレプトマニア)などと言われる精神的な問題を抱えている場合です。
 あるいは拒食症という精神症状が,万引の繰り返しにつながることもあります。
 これらの場合には,迷わず精神科を受診するべきでしょう。
 もっとも,精神症状が出るような深刻な場合はそれほど多く無く,万引を繰り返す人の多くは,むしろ「家族の問題」や「心の問題」を1人で抱え込んでいる方が多いのです。
 例えば家族の無理解・無関心などの理由により家庭の中で孤立し,万引を繰り返すことについて誰にも相談できず1人で抱え込んでしまい,それが更なるストレスとなってまた万引をしてしまうような場合です。
 そのような場合には,御家族との接し方を改めたり,自助グループ*1に参加するなどの,2度と万引を繰り返さないための環境作り(再犯防止策)を行うことを助言しています。
 また,仮に刑事事件として受任した場合には,これらの再犯防止策の実施状況について弁護人報告書を作成し,担当検察官に提出して寛大な処分を求めています(仮に起訴された場合には裁判でも使います。)。
 原因の把握と再犯防止策の実行は,2度と万引を繰り返さないためだけではなく,そのような努力をしていることを検察官に示すことによって,寛大な処分を求めるための「武器」としても使えるわけです。
 原因の把握と再犯防止策の実行は,検察官から寛大な処分を勝ち取るために有効な対策と言えます。

3 対策2(適切な取調べ対応)
 事件を罰金で許すか,それとも起訴して懲役刑を求めるかを決めるのは,検察官です。
 つまり,取調べを行った検察官がその相手をどう見るかによって,処分の重さが変わってくる可能性があるのです。
 ですから,適切な取調べ対応,殊に検察官の取調べに対する十分な準備はとても大切です。
 検察官が聞くであろう質問をあらかじめ予測し,それに対してどう答えるのが最も有利に働くかを検討・準備しておく必要があります。
 さらに,万引を繰り返す人の中には,警察に発覚した事案以外にも万引をしてしまった自覚のある方(つまり余罪がある方)が,少なからずおられます。
 そのような場合には,検察官から,「ほかにもやっていないか?」と尋ねられたときにどう答えるかも準備しておく必要があります。
 この場合,仮に「やった」と認めてしまえば,その事実も事件化されてしまう危険があります。反面「やっていない」と嘘をついてしまい,あとからそれがバレてしまった場合には,「噓つき」のレッテルを貼られて,重い処分を下されてしまう危険もあります。
 ですから,検察官の取調べを受けるにあたっては,そういった余罪の有無や内容,余罪があったとして想定される証拠の有無などを正確に確認し,かつ,見極めた上で,どのような対応を取るべきかを検討し,どう答えるかを準備しておく必要がありますが,その準備のためには,刑事事件の経験豊かな弁護士の助言が必須です。

4 法律事務所シリウスでは,刑事事件の経験豊富な弁護士がいつでも相談に応じますので,お気軽に御相談ください。

 

*1 厚生労働省のホームページによれば「ある障害を持つ者同士が互いに励ましあいながら,その障害を様々な形で克服していくための集団」と定義されています。自助グループの原型は,1930年代の米国において医師の提唱により行われた断酒のためのミーティングであり,「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」と呼ばれていました。その運動にならい,2004(平成16)年3月頃,窃盗症の治療に取り組む専門医の提唱により「KA(クレプトマニアクス・アノニマス)」という自助グループが立ち上がり,日本国内に広まったと言われています。そして,千葉県内には「KA千葉」「KA柏」があり,窃盗癖に悩む人たちの広い参加を呼びかけています(詳しくは各ホームページをご覧ください。)。

2021年3月19日

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★