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保釈は,起訴されたその日に認められますか?

よくあるご質問刑事事件

 

1 勾留された被告人やその弁護人は,保釈を請求することができます(刑訴法89条)。
  被告人というのは,刑事事件で起訴された人のことをいうので,理屈上,起訴されたその日であっても保釈は認められます。

2 もっとも現実には,仮に保釈が認められても,釈放が翌日以降にずれこむことが多いのが実情です。
  その原因としては,次のような事情が影響しています。
⑴ 保釈が許可されるためには,保釈請求に対し,検察官が意見を述べ,その意見を踏まえて裁判官が保釈するかどうかを判断するというプロセスが必要です。
  そのため,検察官や裁判官が別の仕事で多忙などの理由で,その意見や判断が遅れ,保釈許可決定自体が翌日以降にずれこんでしまうことが良くあります。
  裁判所は閉庁日(休日)には保釈許可決定を出さないので,金曜日に保釈請求した場合,保釈許可決定が翌週の月曜日にずれこんでしまうこともあるのです。
⑵ 保釈が許可されたとしても,保釈金を納めなければ釈放されません。
  そのため,保釈に当たっては,弁護人が一度保釈金をお預かりし,それを裁判所に納付する必要があります。
  しかし,保釈金のような大金を現金で持ち歩いている人は多くなく,普通は銀行預金を下ろしたり,お金がない場合には日本保釈支援協会などから借金をして調達しなければなりません。
  せっかく保釈許可決定が出ても,既に金融機関の営業時間(午後3時まで)を過ぎていたため,裁判所に納める保釈金を弁護人がお預かりすることができず,その日のうちに保釈されないことも多いのです(ATMは一日の引出額の制限がかかっていれば数百万円の現金を一気に引き出すことはできません。また,送金手続を利用したとしても,時間外に手続をした場合は翌営業日の決済となります。※当事務所に限る)。
  一方,検察官が刑事事件を起訴する場合,起訴状という書類について,事務方が内容や体裁を丁寧にチェックするというプロセスを経て裁判所に提出されるため,実際の起訴はその日の午後にずれこんでしまうことが多いのです(実際,千葉地方検察庁で起訴される場合,夕方5時前後に千葉地方裁判所の刑事訟廷に起訴状が提出されることが多く,そこから弁護人が急いで保釈請求を行っても,その日のうちに検察官から求意見が戻ってきませんので,そのような場合,起訴日に保釈判断がされることはありません。)。
  そのため,保釈許可決定が出た時点で,既に金融機関の営業時間が過ぎていたために,その日のうちに保釈金を納付できず,釈放して貰えないという事態が起こり得ます。
⑶ 特に日本保釈支援協会などから保釈金を借りる場合には,その手続や送金などに相応の時間がかかりますから,起訴されたその日に保釈されることがより困難になります(日本保釈支援協会以外にも,全弁協の保釈保証書発行事業を利用することもできますが,この場合,裁判官によっては,自己資金の比率を多めにするよう求めてくる場合もあるので,留意が必要です。)。

3 しかし,法律事務所シリウスでは,これまで多くの刑事事件に取り組んできた豊富な経験を生かし,次のような工夫をして,できる限り,起訴されたその日に保釈・釈放されるような弁護活動をしています。
⑴ 見通しを立て,早めに保釈金を準備する
  逮捕・勾留された被疑者やその御家族からご依頼を受けた時点で,保釈が認められる事件かどうか,保釈が認められた場合には保釈金額がどの程度になるかなどの見通しを立てます。
  また,その時点で,保釈請求に必要な身元引受書をいただいたり,保釈金の早めの用意をお願いしたりしています。
  その上で,保釈金の受渡・納付の流れについても具体的に説明し,保釈請求当日にスムーズな保釈金の納付ができるよう,打合せをしておきます。
  なお,想定される保釈金の全額を自己資金で準備することが困難な依頼者には,早めに日本保釈支援協会などへの相談・申込みをしておくよう勧めています。
  その場合,日本保釈支援協会などの担当者から弁護人に対し,事件の概要や見通しを直接尋ねてくることが多いのですが,その際には,できる限り具体的な見通し(殊に保釈が認められる日程)を伝え,その時点までの融資が確実に行われるよう依頼しています。
⑵ 起訴の日程や時刻について,検察官に根回しする
  保釈請求を考えている事件については,できるだけ早く検察官に電話連絡をし,捜査スケジュールや起訴日程の見通しを積極的に尋ねています。
  その上で,検察官には,保釈請求予定であることや,保釈金の調達見通しなども伝えた上,スムーズに保釈手続が進むように,例えば「起訴は午前中のうちにできるようお願いしたい。保釈請求に対する意見も午後2時までに返して欲しい。」などと具体的な依頼をします。
⑶ 事務所全体で,保釈請求や保釈金納付に関する体制作りを整えておく
  保釈請求当日は,保釈請求をするだけではなく,依頼者から保釈金を預かったり,それを裁判所に納付したりする必要があり,かなりバタバタします。
  そこで,法律事務所シリウスでは,担当弁護士が保釈金の受渡や納付の流れを具体的に想定し,その流れに応じて事務局が円滑に動けるよう,事務局スタッフにも具体的な指示をしています。
  その上で,保釈請求当日は,裁判所や検察庁に小まめに電話をかけ,手続がどこまで進んでいるかを確認し,場合によっては,もっと迅速に進めるよう催促したりもしています(実際に,このようなプレッシャーをかけることで,手続は早く進みます。)。

4 法律事務所シリウスでは,このような体制で,起訴された後,できるだけ早い段階で保釈されることを目指しておりますので,お気軽にご相談ください。

2021年3月12日

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★