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知り合いに誘われて持続化給付金をだまし取ってしまいました。私は刑務所に行かなければならないのでしょうか?

よくあるご質問刑事事件

1 持続化給付金は,新型コロナウイルス感染拡大の影響で減収した個人事業者らに対して国から支給されるものです。
 事業経営や減収の実態がないのに,そのような事実をねつ造する書類を偽造して持続化給付金を受け取る行為は,当然ながら詐欺罪に問われます。
 さらに,事実をねつ造するために偽の書類を作ったり,書類の内容を改ざんしたりする行為は,私文書偽造罪・変造罪という別の罪に問われるリスクもあります。
 そもそも持続化給付金は,国が,新型コロナウイルス感染拡大を食い止めるために,国民に対し外出や事業営業の自粛等を求めることの代替措置として,減収した個人事業者の事業の継続を支え,再起の糧として使ってもらう目的で支給されるためのものです。
 これによって,多くの人の雇用が守られるという,政策的な目的もあります。
 そして,その財源は国民の税金です。
 ですから,持続化給付金詐欺の横行を放置することは,目的に沿わない「税金の垂れ流し」を放置するに等しく,真面目に働き税金を納めている国民の大きな怒りを買うことになります。
 そのため,警察も,犯人検挙に力をいれるというわけです。

 

2 警察捜査が実を結び,最近は,「持続化給付金詐欺容疑で税務署員の男を逮捕。愛知県警」とか,「コロナ給付金詐欺3億円か。栃木県警,首謀者の容疑者逮捕」などというニュースを見掛けるようになりました。
 もっとも,このようなニュースに登場する人物は,その多くが,税の専門家である立場を悪用して多数回の持続化給付金詐欺を繰り返したり,悪知恵を駆使して多数回の持続化給付金詐欺を繰り返す犯罪組織のリーダーのような,この犯罪の「首謀者」たちです。
 「首謀者」たちは,詐欺の件数や被害額等にもよると思いますが,役割等から考えると,実刑判決が宣告される可能性も高いです(実際に刑務所に行くことになります。)。

 

3 「首謀者」たちは,決して,自らの手を汚さないのが一般的です。
 つまり,「首謀者」たちは,自分の名前で持続化給付金の不正請求をすることはなく,報酬をちらつかせて言葉巧みに他人を誘い込み,その他人の名前で偽の書類を作って不正請求をさせる手口で,暴利を得ようと目論んでいるのです。
 そうすることによって,「首謀者」たちは,捜査の手が自分にまで及ぶことを回避しつつ,多くの他人を使ってだまし取った多額の持続化給付金を吸い上げているのです。
 これに対し,「利用された」人は,せいぜい十数万円程度の報酬を手にするだけで,警察捜査の矢面に立たされることになります。
 それでも,詐欺に加担したと評価される場合には,刑事責任を追及されることもあります。
 まったく割に合わないのです。

 

4 今,自分のやったことを後悔し,警察に捕まるのではないかと脅えているのは,おそらく,こういった手口で首謀者に「利用された」方々ではないでしょうか。
 警察は,「首謀者」を逮捕するために,まずは自分の名前で持続化給付金を不正請求をした人物を特定し,これらの者を広く検挙して事情を聞くことにより,それを指示した「首謀者」まで捜査の手を伸ばしていく捜査手法を採るはずです。
 これを「突き上げ捜査」といいます。
 この「自分の名前で持続化給付金の不正請求をした人物」こそが,まさに首謀者に「利用された」人ということになります。
 ですから,残念ながら,「利用された」人が,やってしまった犯罪をなかったことにすることは難しく,形はどうあれ,警察の捜査対象とされてしまうことは避けられません。
 とはいえ,いきなり逮捕されるのか,あるいは,いきなり刑務所にいかされてしまうのかについては,事案によって異なるものですし,警察捜査に適切に対応することで,逮捕や服役を回避できる可能性が出てきます。

 

5 例えば,自ら犯罪を申告する「自首」したり,だまし取った給付金を国に返納(弁償)することによって,逮捕を免れ,社会で普通に生活しながら警察捜査(在宅捜査)に協力することが可能かもしれません。
 弁償の努力や反省の態度等が評価されて,起訴されずに済むかもしれません。
 また,仮に逮捕・起訴されたとしても,「保釈」により早期に社会に戻してもらえることが可能かもしれません。
 さらには,裁判で執行猶予判決を勝ち取り,刑務所への服役を避けることが可能かもしれません(近時の報道を見ると,加担の程度,役割,件数,被害額等にもよりますが「利用された」人については,執行猶予となる可能性もあるように思われます。)。

 

6 もっとも,実際に,警察等に対しどのような対応をとるべきかは,事案の内容によって異なります。
 適切に対応するためには,まずは,どうしてこのような犯罪に手を染めてしまったのかなどの事情について,詳しくお聞きする必要があります。
 その上で,専門家として助言を差し上げながら,最良の方法を採っていくことになるでしょう。
 まずは,お気軽に御相談ください。

2021年1月21日

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★