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約1年前に傷害事件を起こしました。何度か警察署に呼び出されて事情を聴かれた後,担当刑事から「検察庁に事件を送るので,そのうち検察官から呼び出しがある。」と告知されています。しかし未だに検察官から何の連絡もないので,落ち着かず,再出発のための就職活動もできません。 どうしたらいいですか?

よくあるご質問刑事事件

1 刑事訴訟法(以下,「刑訴法」と言います。)は,刑事事件の捜査を行った警察官(司法警察員)に対し,速やかに事件等を検察官に送致しなければならないとする原則を定めた上で(刑訴法246条),刑事事件の起訴・不起訴の処分権限を検察官に独占させています(刑訴法247条)。
  したがって,ご質問の傷害事件についても,担当刑事が一応の捜査を終えた時点で事件は検察官に送致されているはずであり,担当検察官は,補充捜査等を行った上で,事件の起訴・不起訴の処分を決することになります。
  この場合に想定される補充捜査としては,せいぜい,被疑者である相談者や被害者からの事情聴取くらいですから,本来,事件発生から約1年間も音沙汰なしというのは,異常とも言えます。

2 ところで,刑訴法は,被疑者を逮捕・勾留した事件については,担当検察官に対し,処分を決するまでの時間的制約を定めています(刑訴法204条等)。
  しかし,被疑者を逮捕・勾留しなかった事件(「在宅事件」と言われています。)については,明確な時間的制約がありません。
  また,一度は逮捕・勾留されて,処分保留のまま釈放された事件(「釈放未済事件」と言われています。)も,同様に,その後の処分に関する明確な時間的制約がないのです。
  そのため,在宅事件や釈放未済事件については,担当検察官の事務処理能力や,繁忙度によっては,事件の処分がいつまでも決まらず「放置」されてしまう危険があります。
  相談者の場合,まさに,そのような危険に晒されているケースと言えるでしょう。

3 このような場合の対応としては,まず,相談者が置かれている状況の調査が必要になります。
  そのためには,①担当刑事に対し,いつ,事件を検察庁に送致したのかを確認し,②事件を管轄する検察庁の担当部署(事件係)に対し,事件受理の有無と担当検察官の名前を確認し,③担当検察官に対し,事件処分の時期を確認する必要があります。
  稀に,そのような調査の結果,担当検察官が既に事件を不起訴としていたことが確認できる場合がありますし,そうでなくても,担当検察官が,処分の見通しを明確に回答してくれる場合もあります。
  しかし,残念ながら,そうでない場合,つまり,担当検察官に尋ねても,事件の処分の時期はおろか,その見通しさえはっきりと答えてもらえない場合が,圧倒的多数であるのが実情です。
  
4 このように,事件の処分の時期はおろか,その見通しさえはっきりと答えて貰えない場合の対応には,一定の工夫が必要です。
  検察官は,刑事事件の起訴・不起訴の処分権限を独占している以上,それを適切に行使すべき責任を負っています。そして,身柄を拘束されていない在宅事件・釈放未済事件とは言っても,刑事事件の捜査対象として起訴される危険のある不安定な立場に置かれている間は,その自由な活動が一定限度制約されていることは明らかですから(実際,質問者は,再出発のための就職活動さえできない状況に置かれています。),検察官には,被疑者が置かれた不安定な立場を一刻も早く解消するために,担当した刑事事件を迅速に処理すべき義務があるはずです。
  しかし,これらはいずれも抽象的な義務に止まっており,残念ながら,刑訴法上,このような検察官の義務懈怠に対し,不服を申し立てたり是正を求める具体的権利は規定されていません。
  とは言え,事案によっては,担当検察官に更に積極的に働きかけて,処分が遅れている原因を探りつつ,その原因を取り除くための協力を持ち掛けるなどの交渉をしながら,事件処理を急ぐよう促すことが可能です。
  例えば傷害事件の場合であれば,一般的に被害者との示談ができれば不起訴となる場合が多いことから,担当検察官が,示談を待って事件を「放置」している場合が少なくないので,そのような場合には,被害者との示談交渉を整えた上で,担当検察官に対し,事件を速やかに不起訴にするよう促すことが考えられます。
  また,担当検察官が,事件の抱える法律的な問題点を気にして起訴・不起訴を決めかねている場合もあるのですが,そのような場合には,その点に関する率直な見解を伝え合って一定の合意をするなどして,早期処分を促すことなども考えられるのです。

5 もっとも,上記のような調査や交渉は,一般の方には少々難しく,ハードルが高いかもしれません。
  特に事件の抱える法律的な問題点があるような場合,担当検察官は,それを被疑者に伝えることが証拠隠滅を助長するなどといった発想を持っているため,なかなか,被疑者本人に率直な考えを伝えてくれない場合が多い(むしろ滅多に伝えない)と思われます。
  ですから,こういった場合には,やはり,刑事事件に精通した弁護士を弁護人に選任した上,上記調査や,担当検察官との交渉を委ねるのが得策と思われます。
  そして,実際にどう調査すれば良いのか,とか,どのように交渉すれば効果的かは,事案によって全く異なりますので,まずは,刑事事件に精通した弁護士に相談し,一緒に,事件が「放置」されている原因を見極め,効果的な対策を練ることをお勧めします。
  法律事務所シリウスの弁護士は,刑事事件に精通しておりますので,ご相談をいただければ,きっと良い助言を差し上げることができると思います。
  まずはご相談ください。

2020年7月16日

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★