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刑事事件における顔貌鑑定とその限界

2018.07.20ブログ

 防犯カメラなどの画像を解析した上で,そこに映った犯人の顔と,刑事裁判の被告人とされている人物の顔が同一であるか,専門家と称する人物が意見を述べることがあります。これが,「顔貌鑑定」などと呼ばれる手法で,最近の刑事裁判では,しばしば登場します。
 しかし,こうした「顔貌鑑定」と呼ばれるものに絶対の信頼を置くことは危険であると考えられます。
 まず,防犯カメラ画像は不鮮明なことも多く,犯人の顔がはっきり映っているとは限りません。また,犯人がマスクや帽子で顔を隠していることも多く,その点でも限界があります。
 また,犯人と被告人に顔を比較して似ていたとしても,まったくの同一人物であるとの結論を直ちに導くことができるのかという問題もあります。
 実際の裁判例でも,こうした「顔貌鑑定」と呼ばれるものの信用性が否定されるケースは散見されます。
 事案の内容にもよりますが,事実を争う事件で「顔貌鑑定」と呼ばれるものが問題になっているときには,弁護人が十分な検討を行う必要があります。

弁護士 中井淳一

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★