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刑事事件における画像鑑定の問題点

2018.07.13ブログ

 最近の刑事裁判では,画像に関する証拠が問題になることが非常に多くなってきています。
これは,防犯カメラ,スマートフォン,ドライブレコーダーなどにより,私達の社会の中で,動画や写真が撮影される機会が飛躍的に増えてきたためです。
こうした動画や写真は,刑事裁判において,決定的に重要な証拠となり得ます。例えば,防犯カメラに事件の様子が映っていれば,関係者の証言を得るまでもなく,事件の具体的内容が客観的に明らかになります。
一方で,動画や写真などの画像が,刑事裁判で事実を認定するに当たって強い意味を持ち得るからこそ,そこからどのような事実が認定できるか,慎重な判断が求められる場合も多くあります。
現実の刑事裁判では,「画像解析の専門家」とされる人物が出廷し,客観的な解析結果を超えて,単なる印象や主観的な意見を述べていると感じられる場面も少なくありません。しかし,それらは,刑事裁判においては,画像の「鑑定」(あるいは,「鑑定に準じるもの」)として取り扱われることがあります。
刑事裁判において,画像の「鑑定」と称されるものにも様々な種類があり,一概にまとめて論じることは控えるべきです。ただ,確立した手法が存在するとはいえない分野であり,刑事弁護人としては,解析手法に問題はないのか,客観的な解析結果を超えた内容になっていないか,鑑定人とされる人物が本当に適切な専門的な知見を有しているかなど,十分に吟味する必要があります。

弁護士 中井淳一

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★