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菅野亮弁護士が函館弁護士会で「専門家証人に対する反対尋問」研修を実施しました

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 菅野亮弁護士と東京ディフェンダー法律事務所の坂根真也弁護士が函館弁護士会で,専門家証人の反対尋問について研修を実施しました。

 今回の研修では,専門家証人一般に対する講義もしましたが,裁判員裁判では比較的多くある精神科医に対する反対尋問を念頭におきました。

 研修受講生は,心神耗弱を前提とする起訴前鑑定書及び弁護人が入手した心神喪失を示唆する他の精神科医の意見書を読んだ上で,尋問の実演を行います。
 研修では,①責任能力弁護の基礎知識の講義,②専門家証人の反対尋問に関する講義,③ブレインストーミング(鑑定書の論拠の確認と,特に反対尋問の材料となる有利な事実探し)を行って,④尋問の演習を実施しました。

 精神科医が作成する鑑定書は,以前よりは読みやすくなっている印象もありますが,それでもなお弁護士にとって難解なものです。
 実際は,精神科医の書いた司法精神医学に関する書籍・論文やDSM-ⅤやICD-10といった診断基準・マニュアルを読んで,理解していくものですが(それ以外にも,司法精神医学会に参加したり,精神科医との協議会・勉強会に参加することもあります。),今回の研修では,鑑定書を読み解くための基礎知識についても講義等を行いました。

 鑑定書を読み解き,効果的な反対尋問を行うためには,責任能力判断に関する最高裁判例や伝統的な司法精神医学の知識に加え,『刑事精神鑑定の手引き』とその問題点や岡田幸之先生が提唱しているいわゆる8ステップ(岡田幸之「責任能力判断の構造と着眼点-8ステップと7つの着眼点」精神経誌(2013)115巻10号等)も理解する必要があります。

 今回の研修が,受講生の実際の事件処理のヒントになればと思います。
 なお,坂根真也弁護士も,この研修について紹介されておりますので,興味ある方はご覧下さい。

専門家証人の尋問の研修 (責任能力事件を題材に)