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破産債権・再生債権行使上の留意点

2011.10.22ブログ

 破産手続や再生手続において,破産債権者・再生債権者として権利行使を行うことが多い金融機関の職員を対象として,破産(再生)債権の届出上の留意点や別除権の定義,不足額責任主義,手続開始時現存額主義の適用範囲等について講義を行いました。

 破産手続や再生手続は,地方裁判所により運用が異なることもありますので,代表的な運用を把握することが必要となります。この点,東京地裁の運用については,「破産管財の手引」(鹿子木康/島岡大雄編〔きんざい・2011〕)で紹介され,大阪地裁の運用については,「破産・個人再生の実務Q&A~はい6民です お答えします~(2008年12月全訂新版)」〔大阪弁護士共同組合・2008〕で紹介されています。
 千葉地裁の運用については,今のところ,公刊されたものはありませんが,破産事件の処理としては,東京地裁の運用に近いことが多いように思われます。

 債権者として,受任通知を受領した後,数年にわたり,何の進展もない案件も少なくありません。この点については,「破産申立てを受任し,その旨を債権者に通知した弁護士は,可及的速やかに破産申立てを行うことが求められ,また,破産管財人に引き継がれるまで債務者の財産が散逸することのないよう措置することが求められる」(東京地判平成21年2月13日判時2036号43頁),「申立代理人弁護士による換価回収行為は,債権者にとって,それを行われなければ資産価値が急速に劣化したり,債権回収が困難になるといった特段の事情がない限り,意味がないばかりか,かえって,財産価値の減少や隠匿の危険ないし疑いを生じさせる可能性がある」(東京地判平成22年10月14日判タ1340号83頁)等と判断した裁判例が参考になります。

 高裁レベルで判断の分かれていた,複数の被担保債権がある場合にそのうち一部の債権が完済になった場合の手続開始時現存額主義の適用の問題については,「債務者の破産手続開始の決定後に,物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合には,複数の被担保債権の全部が消滅していなくても,上記の弁済に係る当該債権については,同条5項(※報告者注:破産法104条5項)により準用される同条2項にいう『その債権の全額が消滅した場合』に該当し,債権者は,破産手続においてその権利を行使することができないものというべきである」(最判平成22年3月16日最高裁判所民事判例集64巻2号523頁)とされ,この論点については実務上解決がつきました。
 実体法と異なるルールで難しい問題ですが,破産債権の処理については,上記最判も参考にして実務上対応していくことになると思われます。 
                     菅 野