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「法廷弁護技術」研修⑤ 主尋問とその講評3

2008.07.10ブログ

報告者 菅 野

【酒店を見張る刑事に対する主尋問】

「では,ワトキンスが酒店の中に入る前のことを聞きますね」
 「はい」
「あなたは,ワトキンスが店内に入るとき,どこにいましたか」
 「店の外の道路の脇に車を止め,その中にいました」
「ワトキンスはつまずいたりしていませんでしたか」
 「はい,店の外でつまずいていました」
「あなたの居た位置から,ワトキンスは,よく見えましたか」
 「はい。特に遮るものもなく,距離も20メートルくらいでした」
「ワトキンスは酔っているように見えましたか」
 「はい」
「何故,そのように思ったのですか」
 「正常な様子ではなく,よろよろ歩いていたし,目も充血している様子だったからです」

 さて,この尋問は,「酔った人物に酒を売ってはいけない」というアメリカの架空の法律に関し,ワトキンスさんが,酔っていたことを立証したい側の主尋問です。
 店に入る前に,「酔っていた様子」をイメージ付けることはできたでしょうか。
 NITA風に講評するとこうなります(短くしたのでプレイバックは一つだけにしますが,,,)。

 ①主尋問において,「誘導尋問」を使用してはいけないことを話します。
 ②あなたは,「ワトキンスはつまずいたりしていませんでしたか」と聞きました。
 ③しかし,そこでは,
 「ワトキンスの様子はどうでしたか」と聞く方がベターです。
 ④主尋問では,証人が語ることで,事実認定者が心証をとることになります。
  誘導ではなく,極力,「誰が」,「何を」,「いつ」,「どこで」,「なぜ」等のオープンエンドで質問をして,証人に語ってもらうことが,重要です。