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イギリス刑事法紹介㉛〜暴行罪(Assault、Battery)〜

2026.10.06ブログ

 

 いわゆる「暴行罪」に当たる犯罪として、イギリス法では、「Battery」という犯罪類型があります。ただし、イギリス法では、これに似た犯罪として「Assault」というものもあり、注意が必要です。

 

 まず、Batteryについては、すべての違法な身体接触が該当するとされており、日本法上の暴行罪とかなり近い内容といえます。ただし、有形力の行使は間接的なものでもよいとされており、過去の裁判例では、赤ちゃんを抱いた女性の顔を殴って、その女性が赤ちゃんを落としてしまったという事例で、赤ちゃんに対するBatteryの成立が認められています。

 

 一方、Assaultの成立のためには、身体的接触が必ずしも要求されておらず、違法な有形力が行使されそうだと被害者が認識すれば足りるとされています。例えば、殴るために拳を振り上げる行為でもAssaultに当たり得ることになりますし、過去の裁判例では、無言電話もAssaultに当たると判断された事例もあります。

 

 英語の辞書では、「Assault」は単に「暴行」と訳されることが通常ですが、イギリス法では、私たちが必ずしも「暴行」と受け止めないような行為でもAssaultに当たることがあります。そのため、イギリス法の定義を前提とすると、Assaultという言葉に適切に対応する単語を日本語で見つけることは難しく、法律用語の翻訳の難しさが表れた例の1つといえます。

 

※本稿におけるイギリス法の説明は、イングランド及びウエールズ圏内において適用される法規制に関するものです。

(関連記事:イギリス刑事法紹介㉚〜厳格責任(Strict Liability)〜)

 

法律事務所シリウス 弁護士 中井淳一

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★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★