Peter Sullivan事件と刑事司法の課題~
2025年5月13日、イングランド・ウェールズ控訴院(Court of Appeal)は、1987年に殺人罪で有罪判決を受けたPeter Sullivan氏(当時68歳)の有罪判決を取り消しました。Sullivan氏は、逮捕後38年にわたって身体拘束を受けており、現在確認されている限りイギリス史上最長の冤罪被害者となっています。
本件の端緒は、1986年8月2日にリバプール近くのバービントンで発生した女性に対する殺人事件です。Sullivan氏は、事件の翌月に逮捕され、1987年の第一審において有罪とされ、終身刑が言い渡されました。
Sullivan氏が2021年3月に刑事事件再審委員会(Criminal Cases Review Commission:CCRC)へ申立てを行ったことが転機となりました。CCRCはその後の審査において、事件当時に採取されていた証拠物からDNA型鑑定を実施した結果、得られたDNAプロファイルがSullivan氏のものと一致しないことを発見しました。
控訴院は、上記DNA型鑑定による証拠を決定的な新証拠として有罪判決を取り消しました。
本件は、DNA型鑑定の精度が低かった時代の刑事裁判における冤罪発生の問題を改めて浮き彫りにしました。DNA型鑑定の技術が発達し、精度が著しく発達した現在においては、過去の冤罪事件について、改めて適切な判断を受ける権利を保障する制度の整備が重要といえます。
弁護士/英国弁護士 中井淳一
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★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★




