虫本弁護士が警察学校での研修講師を担当しました
2026年1月
弁護士 虫本良和
2025年12月、千葉県警察学校で、研修の講師を担当しました。
講義の相手は刑事事件の取調べを担当する現職の警察官であり、普段の業務ではいわば「対立」することもある関係ですが、お互いの職務に対する理解を深めるための貴重な機会として、私自身にとっても、本当に良い経験となっています。
講義を担当させていただくのは今年で4年目でしたが、毎回、講義の前に、受講者の方から質問をいただくのが通例となっています。質問の内容は様々ですが、毎年必ずといってよいほど寄せられる(多少の表現の違いはありますが)のは、例えば、「本当は犯人なのになぜ黙秘を勧めるのか」「明らかにやっているとわかる証拠があるのに、黙秘するメリットがあるのか教えてほしい」といった質問です。
こういった質問に対する「回答」或いは関連する話題として、いつもお話させていただいているのは、弁護人の「義務」についての考え方です。
弁護士には、ひとたび刑事事件の弁護人に選任された場合、必ず遵守しなければならないいくつかの「義務」があります。
その中でも最も重要なものは「誠実義務」と呼ばれるもので、弁護士法1条2項に弁護士の「使命」として定められています。
誠実義務の具体的内容は大きく分けて2つあり、1つは、被疑者・被告人のために最善の努力を尽くした弁護活動を行わなければならないこと(最善努力義務)、そして、もう1つは、被疑者・被告人の意思に反する弁護活動は許されないことであると説明されています。
そのため、被疑者・被告人が「無罪」を主張しているのに、弁護人が「有罪」を主張することは、誠実義務に反するものであり、弁護人は依頼者の意思に沿って全力を尽くす義務があります。
弁護人に、このような義務が課されているのは、被疑者・被告人とされた人の権利・利益を擁護するためですが、同時に、不十分な証拠で有罪とされてしまう冤罪や、違法なやり方での捜査や取調べを防止することで、刑事手続き全体の適正を守るということにも繋がっています。
今回の講義でも、このような刑事弁護人の義務について話をさせていただきました。
研修を通じて、警察官も弁護士も、それぞれが専門職としての責務を正しく理解し、それを実践し続けることで、この国の刑事手続きが国民から信頼されるものになっていくのではないか、そんな風に感じることができました。
講師としてお招きいただき、本当にありがとうございました。
以上
★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★




