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英文契約書作成の実務④~仲裁・裁判管轄に関する条項~

2025.08.05ブログ

 

 海外企業との取引に用いられる英文契約書の特徴として、仲裁や裁判管轄に関する「紛争解決条項」と呼ばれる条項が、必ずといってよいほど含まれています。これは、万一トラブルが発生した場合に、どのような手段で、どの国のどの機関で解決するかをあらかじめ定めておくものです。
 日本国内の当事者間における契約の場合には、紛争が生じたとしても、当然に日本の裁判所その他の紛争解決機関で紛争解決が行われるため、「紛争解決条項」は入らないことが珍しくありません。
 しかし、国際的な取引に関する英文契約書の場合には、「紛争解決条項」は必須といえます。

 紛争解決条項の1つの類型は、紛争が生じた場合の管轄裁判所の合意です。通常は、契約当事者のどちらか一方の国での裁判管轄が多くなります。
 ただし、裁判管轄の合意があって裁判を一方当事者の国で起こせたとしても、国際的な裁判には莫大な時間と費用がかかり、その裁判での判決により強制執行等を行うことも必ずしも容易ではないため、紛争解決の実効性に疑問が残る場合もあります。

 そのため、実際の国際取引に関する英文契約書では、「紛争解決条項」として、特定の仲裁機関での仲裁を合意することが珍しくありません。
 仲裁の場合には、裁判と比べて迅速な解決が図られることが多く、また、国際的な仲裁機関で出された仲裁判断については、多くの国で強制執行に用いることができます。
 ただし、「紛争解決条項」として仲裁を合意する場合には、仲裁を行う仲裁機関の特定や、仲裁手続きに適用される規則など、具体的に合意をしておく必要があります。

 国際取引においては、適切な「紛争解決条項」の設定がリスク管理のためには重要です。取引の内容や相手方の所在国を踏まえ、どの手段が自社にとって最適かを、専門家とよく相談して慎重に検討しましょう。

弁護士/英国弁護士 中井淳一
https://japanese-lawyer.com/

 

★千葉市の弁護士事務所『法律事務所シリウス』より★