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遺言の作り方を教えてください。

相談内容

遺言はどのように作ったら良いのでしょうか。

結果・回答

遺言は、法律上厳格な形式が求められています。
また、内容も厳格に法定されています。安易に作成せず、弁護士に相談することをおすすめします。

ポイント

遺言について

遺言は、例えば、ご本人の死後、同居の子に自宅を相続させたり、預貯金を福祉施設に寄付したりするなど、ご自身の死後の財産処理等の希望を予め書面で残しておく制度です。
遺言は,民法の定める方式に従わなければすることができないと規定されています(民法960条)。以下,実務的に利用されることの多い、自筆証書遺言と公正証書遺言について説明します。

作成方法(「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」)

遺言の作成方法にはいくつか種類がありますが、一般的には下記の形式で作成されることが多いと思います。

  • 自筆証書遺言
     遺言者が遺言書の全文,日付及び氏名を自署し,押印をします(民法968条)。
     自筆証書遺言中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印をおさなければ,その効力は生じません。
  • 公正証書遺言
     証人2名以上の立会いの下,遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し,公証人が遺言者の口述を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせ,又は閲覧させて,筆記が正確なことを確認した上で作成されます。
     基本的には,公証人のいる公証人役場で作成することになります。
 自筆証書遺言は,簡便かつ安価に作成できますが,形式の間違いなどにより遺言が無効になるなどの危険も少なくありません。
 例えば,「平成28年2月吉日」との記載は,日時が特定できないので,遺言自体が無効とされてしまいます(最判昭54年5月31日民集33・4・445参照)。
 また,ご本人の死後,遺言書の保管者や相続人が家庭裁判所に「検認」という手続きをする必要があります(民法1004条。なお,法改正により法務局において自筆証書を保管してもらう場合に,検認が不要となることについては,この後記載するとおりです。)。

●民法の改正~自筆要件の緩和~
 自筆証書遺言については,自筆要件を緩和する法改正が行われ(民法968条第2項),平成31年1月13日から施行されます。
 元々,自筆証書遺言は,遺言者が,全文を自署しなければならないとされていました。
 そのため,不動産や預貯金の特定のために財産目録を作成する場合,財産目録の内容についても全て,遺言者が自署しなければなりませんでした。
 今回の改正では,「自筆証書にこれと一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には,その目録については,自署することを要しない。」という規定が加えられることになりました(改正法968条第2項)。
 この改正により,遺言者は,不動産や預貯金の財産目録については自署しなくてもよいこととなり,パソコンでの作成や,不動産の登記,預貯金通帳の写しを添付することでも,有効な自筆証書遺言を作成することができることになりました。
 なお,自筆していない財産目録については,ページ毎に,署名・押印しなければならないことに注意が必要です。

●法務局での遺言書の保管制度の新設
 自筆証書遺言の法務局での保管に関する法律が新設されました。この法律は,平成32年7月10日に施行されます。
 自筆証書遺言は,遺言者本人が自分で保管することが多いため,紛失や,相続人による遺言の隠匿等のおそれがあり,相続が発生した段階で遺言の有無等について争いが生じる可能性がありました。
 そのため,法務局において,遺言書を保管等してもらう制度が新設されることになりました。
 遺言者は,作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらうよう申請することができます(法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)4条1項)。申請がされると,遺言は,法務局の遺言書保管官によりデータ化され,画像データが遺言書保管ファイルで保管されます。相続が開始すると,遺言者の相続人は,遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明する書面の交付を受けて,遺言の内容を確認することができます(遺言書保管法9条)。
 法務局で保管された遺言については,自筆証書遺言の場合に必要となる検認の手続が不要とされます(遺言書保管法11条)。

公正証書遺言
 公証人が作成するため,形式面での過誤が生じる恐れは低く,比較的安心して作成することができます。遺言作成時に公証人が遺言者に遺言内容に間違いないか確認することになりますので,遺言が無効だという紛争が自筆証書遺言と比べて生じにくいものです。
 また,遺言が公証人役場に保存されますし,「検認」手続きも不要です。

遺言内容

遺言できる内容は法律上限定されていますが、その内容は多岐にわたります。

(例)

  • 同居の次女に自宅を相続させたい(遺産の分割の方法の指定相続分の指定)
  • 福祉施設に預貯金を寄付したい(遺贈)
  • 祭具、系譜などを長男に承継させたい(祭祀財産の承継の指定)
  • 婚外子を認知したい

そのほか、負担付遺贈(遺贈の条件として一定の義務を負担させること)、特別受益の持戻し免除(生前贈与した財産などを、遺留分に反しない範囲で相続分の算定に含ませないようにすること)、遺産分割の禁止(5年を超えない範囲で遺産分割を禁止すること)などもあります。

遺言の注意点

遺言は、形式が法律上厳格に定められ、また遺言できる内容も厳格に法律で定められています。法律に反する遺言を作成しても、遺言としては無効となります。
遺言はご本人が亡くなった後に効力が生じるため、いざ遺言を執行しようとする場面では、ご本人による修正ができません。そのため、遺言を作成する段階で、十分に準備をする必要があります。