よくあるご質問
借金の問題
私は、消費者金融等で借り入れた借金の返済ができずに困っておりますが、そういった借金の問題を解決するのにどういった方法があるのでしょうか。一般的な方法とその手続きを教えてください。
現在、借金の問題で困っている方が多数存在し、社会問題化しているところです。
当事務所においては、個人の債務者については「任意整理」、「個人再生手続」、「破産手続」によって負債の問題を解決しています。
手続はおおむね以下のようなものです。
貸金業者等からこれまでの取引履歴を提出させます。

さらに、 で取り寄せた取引履歴を前提に、業者が現在適用している利息(25%〜29%)ではなく、利息制限法所定の利息(15%〜20%)に引き直して計算した額によって「正確な負債総額を把握」します。
具体的には、これまで利息として支払ってきた額のうち、利息制限法所定の利率を超える金額については、元金に充当する形で再計算を行いますので、負債総額が減ることが多くあります。
平成19年1月1日に、100万円を年29.2%で借入をし、毎月1日3万円滞りなく支払いを行った場合

正確な負債を把握する作業を行った後に方針を決めることになりますが、おおむね以下のような解決方法があります。

、 過払金が発生して負債が無くなる
過払金(上記 、 の作業を行った結果、払いすぎであった場合に業者から返還を受けることができる金額のことです。)が発生し、業者から取り戻せる場合もあります。
長年、貸金業者と取引を行っている方の場合は、負債がなくなってしまう場合もあり得ますが、一部の業者には払いすぎで、過払金が戻ってくるが、他の業者には残債務が残ってしまう場合には、 以降の手続の検討を行います。
、 任意整理
負債が残ってしまい(過払金が一部発生しても残債務が発生してしまう方もいます。)、定期的な収入があり、無理ない返済プランが立てられる場合には、債権者と話し会い、分割弁済を行うことを合意し、数年間(おおむね、3年程度)での弁済を目指します。
任意整理による場合、業者とは将来利息の免除の交渉を行い、相手方が了解した場合には、元金のみの分割弁済となります。
また、定期的な収入ではなく、不動産等の資産を売却して一括返済ということも考えられるところです。任意整理は、各依頼者の経済的状況によって柔軟な対応が可能な手続といえます。
、 個人再生手続の利用
定期的な収入はあるが、毎月の収入では、任意整理を行うことが難しい場合に、裁判所に個人再生手続の申立てを行い、負債の一部カットを行った上で、原則として3年間の分割弁済を行い、残額を免除してもらいます。
個人再生手続は、定期的な収入(給料である必要はなく自営・農業等の不定期な収入でも手続の利用ができます。)のある方が利用できる小規模個人再生と給与所得者等が利用できる給与所得者等再生手続がありますが、この二つの手続は、最低弁済額や手続を進める上で債権者の同意が必要か否かといった点に違いがあります。
なお、個人再生手続において、裁判所の許可を得た上で住宅ローンの弁済は継続したまま、他の負債の一部カットを行うこともできますので、住宅を維持したい方には便利な手続と言えます(住宅資金貸付債権に関する特則を利用した個人再生手続)。
どのくらいのカットができるかというと、小規模個人再生手続の場合には、1500万円以下の負債額の場合、負債額の5分の1と、100万円のいずれか大きい額ということが一つの基準となります(例えば、400万円の負債額であれば、5分の1が、80万円となり、100万円のほうが額が多いですから、100万円を3年間で分割弁済することになります。)。給与所得者等再生手続の場合は、法令等で定められた方式によって算出された可処分所得の2年間分の額を支払うことになります。
なお、上記の計算により最低弁済額が算出されますが、その額以上の財産を持っている場合には、その財産の価額が最低弁済額になります(清算価値保障原則といいます。)。
、 破産手続
裁判所に破産・免責手続の申立てを行います。
収入がない方や、親族の事業資金の連帯保証をした場合で、負債額が多額のため、任意整理や個人再生手続では解決できない場合は破産手続を利用し、負債のない新たな生活を行うことが望ましいと思われます。
例えば、自営業者の知り合いが銀行から2000万円借り入れた際に、頼まれて連帯保証人になってしまったが、自分の収入がパート収入で毎月8万円程度しかなく資産等もない場合などは、破産手続を利用することが考えられますし、負債が200万円しかない場合でも、うつ病のために職を失い、現在生活保護を受給することを検討中といった場合も、破産手続による解決しか図れないことが多いと思われます。
なお、裁判所において、免責決定を受けることができれば、法律上負債の支払義務がなくなります。
任意整理とはどんなことをするのですか。
任意整理とは、貸金業者等からこれまでの取引履歴を提出させ、業者が現在適用している利息(25%〜29%)ではなく、利息制限法所定の利息(15%〜20%)に引き直して計算した額によって「正確な負債総額を把握」します。
具体的には、これまで利息として支払ってきた額のうち、利息制限法所定の利率を超える金額については、元金に充当する形で再計算を行いますので、負債総額が減ることが多くあります。
その「正確な負債総額」を前提として、3年程度の期間で、将来利息を免除してもらい、分割弁済を行う合意を目指す手続です。
ある程度の収入がある人、収入の範囲内で分割弁済が無理なくできる方にむいている手続です。
なお、改正賃金業法が施行される 2009年12月 以降の貸金業者の貸付については、出資法の定める貸金業者の貸付上限金利を利息制限法所定の利率まで引き下げることになっており、利息制限法所定の利率と貸金業者の貸付金の利率のギャップ(グレーゾーン金利)は存在しなくなります。
負債を整理する方法として個人再生手続というがあると聞きましたが、どのような手続きですか。
個人再生手続とは、定期的な収入はあるが、毎月の収入では、各債権者に対する弁済を行うことが難しい債務者が、負債の一部カットを行った上で、原則として3年間の分割弁済を行い、残額を免除してもらう手続をいいます。
個人再生手続には、定期的な収入のある方が利用できる小規模個人再生と給与所得者が利用できる給与所得者等再生手続がありますが、最低弁済額の算出方法や債権者の同意の有無等について違いがあります。
なお、個人再生手続において、裁判所の許可を得た上で住宅ローンの弁済は継続したまま、他の負債の一部カットを行うこともできますので、住宅を維持したい方には便利な手続と言えます(住宅資金貸付債権に関する特則を利用した個人再生手続)。
どのくらいのカットができるかというと、小規模個人再生手続の場合には、1500万円以下の負債額の場合、負債額の5分の1と、100万円のいずれか大きい額ということが一つの基準となります(例えば、400万円の負債額であれば、5分の1が、80万円となり、100万円のほうが額が多いですから、100万円を3年間で分割弁済することになります。)。
給与所得者等再生手続の場合は、法令等で定められた方式によって算出された可処分所得の2年間分の額を支払うことになります。
上記の計算により最低弁済額が算出されますが、その額以上の財産を持っている場合には、その財産の価額が最低弁済額になります(清算価値保障原則といいます。)。
また、小規模個人再生手続においては、過半数の債権者が再生計画案に反対しないことが要件となります。
破産手続のメリット、デメリットを教えてください。
破産手続のメリットは、免責決定を受けることができれば、法的に負債の支払義務がなくなりますので、破産手続開始決定後の収入は全て自分のために使うことができ、経済的なリスタートを切ることが容易だということです。
デメリットとしては、信用情報機関に、負債を支払えなかったというマイナスの情報が登録されますから(信用情報機関によって、年数は異なりますので、詳細は、各種信用情報機関のホームページ等をご参照下さい。)、当面、金融機関等からローンを組むことは難しいですし、クレジットカードの審査もパスしません。
また、破産手続開始決定までに形成した資産(不動産、20万円を超えるような金融資産)は、本来的には債権者への支払いにあてられる資産となりますので、原則として保持できません(但し、特定の事情がある場合には、自由財産の範囲の拡張等の方法で一定限度の財産の保持は認められることがあります。)。
なお、たまに質問されることがあるのですが、破産していることは、住民票や戸籍には記載されませんし、選挙権が制限されるということはありません。
私は、48歳の男性で会社員ですが、給料が減ってしまい、住宅ローンや子供の教育費が支払えないので5年前ほどからいわゆる消費者金融5社から借り入れを行い、現在はその負債額が300万円ほどあり、返済ができずに他者から借り入れる状況です。
破産するしかないのでしょうか。
収入 |
手取34万円ボーナス
夏冬各40万円ずつ |
負債 |
住宅ローン2000万円
毎月の返済額は11万円、ボーナス時30万円
消費者金融5社 300万円
毎月の返済額合計は、5社で12万円 |
生活費 |
子供二人の教育費・食費等で、毎月12万円前後 |
任意整理もしくは住宅資金貸付債権に関する特則を利用した個人再生手続の申立を行うことが考えられます。
あなたの場合、毎月の収入が34万円しかないのに、負債の返済と生活費が35万円もあり、毎月赤字ですから、このままでは借入は増える一方です。
| 収入の部 |
支出の部 |
| 給料 34万円 |
住宅ローン 11万円 その他負債 12万円 生活費 12万円 |
| 合計 34万円 |
合計 35万円 |
収支 ⇒ 毎月1万円の赤字 |
しかし、収入から住宅ローンと生活費を差し引いた11万円のうち、一定額を返済にまわす形にできれば毎月の収支を改善できると思います。
| 収入の部 |
支出の部 |
| 給料 34万円 |
住宅ローン 11万円 その他負債 3万円 生活費 12万円 |
| 合計 34万円 |
合計 26万円 |
収支 ⇒ 毎月8万円の黒字 |
借入時期が5年前ということですが、利息制限法所定の利息による再計算を行うことで消費者金融に対する負債総額が減る可能性もあり、現在は、300万円ある負債が100万円程度まで減れば、住宅ローン以外の債務を36回程度の分割で弁済することにしても毎月の返済額は約3万円です。
住宅ローンの11万円に加えて、消費者金融へ3万円の弁済となれば、計算上は毎月8万円程度の貯金ができることになりますので、子供の成長に必要な資金やいざという時のために貯金額を増やすことも可能になります。
また、消費者金融に対する負債総額が200万円以上残り、その額を3年で返済するとしたら、毎月の返済額が6万円程度になってしまいます。
そのような場合には、住宅ローン以外の負債の一部カットするために「住宅資金貸付債権に関する特則」を利用した「小規模個人再生手続」や「給与所得者等個人再生手続」の申立を行うことで住宅を維持しつつ、その他の負債額を減らすことも可能です。
交通事故の問題
交通事故を起こした場合、加害者にはどんな責任がありますか。
交通事故の加害者は、一般に次の3つの責任を問われます。
刑事責任 |
法律に違反したことに対して、国から刑罰を科されるという意味での責任です。不注意によって交通事故を起こし、被害者に傷害を負わせた場合には、業務上過失傷害等の罪に問われ、罰金刑・懲役刑等の刑罰が科されます。 |
民事責任 |
交通事故によって被害者に与えた損害を弁償しなければならないという意味での責任です。被害者の損害には、大きく分けると人的損害(怪我の治療費、慰謝料等)と物的損害(相手自動車の修理代等)があり、加害者は過失割合に応じてこれを弁償しなければなりません。 |
行政責任 |
公安委員会から運転免許の停止・取消等の処分がなされるという意味での責任です。その他、公務員の方が加害者となった場合に、懲戒解雇や減俸等の処分がなされることもこの行政責任の一つです。 |
脇見運転をして、道路脇を歩行中の人に自動車を衝突させてしまいました。被害者は右手を負傷したようです。現場では何をしなければなりませんか。
まず、自車を道路脇など安全な場所に停止させ、被害者の傷害の部位・程度等を聞き、応急措置や救急車を呼ぶなど必要な救護活動をします。それから警察に通報し(110番通報)、警察官が到着したら実況見分等の手続に立ち会い、事故状況などを説明します。
なお、この他に、続発事故を防止するため、交通の危険を生じさせている破損部品を道路脇に寄せたり、付近の交通整理をするなど、現場での危険防止措置をとる必要があります。
現場での活動が一段落したら、自分が加入している任意保険会社に事故発生の連絡をして下さい。
交通事故の被害者としては現場で何を注意すべきですか。
あなたの怪我が軽傷で、移動や会話ができる場合には、主に次の点に注意して下さい。
加害者が「警察は呼ばないで下さい。十分な弁償をさせて頂きますから。」と頼んできた場合でも、警察への事故報告(110番通報して警察官を現場に呼び、事故状況等を報告すること)は必ずして下さい。人身事故はもちろん、物損事故でも事故報告の義務があり、この義務は被害者の側にもあるとされています(道路交通法72条1項)。
この事故報告を行わないと、理論的には被害者といえど罰則(懲役刑や罰金刑)の適用が可能になりますし、後日加害者が言を翻して弁償をしない場合に、相手方の任意保険会社からの弁償が受けられなくなるなどの不利益もあります。
加害者から、その住所・氏名・連絡先電話番号を聞き、必ずメモを取っておいて下さい。また、加害者加入の自賠責保険会社・任意保険会社の会社名・連絡先も聞いておくとよいでしょう。
交通事故の被害に遭い、右手骨折等の傷害を負い、現在通院中です。病院の治療費や休業損害など当面必要なお金は、相手方の任意保険会社が支払ってくれています。今後、慰謝料などの損害賠償はどのように請求することになりますか。
交通事故の慰謝料は、通常、傷害が治癒したか、又は症状が固定した場合(簡単に言うと「それ以上治らない」と判断された場合)に、その他の損害賠償金とあわせて、まとめて請求します(最終的な損害賠償額の示談交渉)。
[傷害が治癒した場合]
この場合、慰謝料の金額は入通院期間の長さや怪我の内容・程度などを基準として定められます。通常は、治療終了後、保険会社担当者から最終的な損害賠償額の提案があり、その提案に納得すれば示談書にサインして賠償金の支払いを受けます。保険会社の提案に納得がいかない場合は、納得がいかない理由を担当者に説明するなどして適正な賠償を得られるよう交渉します。自分自身での交渉が行き詰まった場合は、交通事故紛争処理センターや裁判所の調停を活用するなどの手段を検討します。詳しくは、弁護士等に一度相談されると良いでしょう。
[後遺障害があると思われる場合]
この場合、まず後遺障害の有無・程度を認定してもらう必要があります。後遺障害認定には、主に次の2種類の手続があります。
相手方任意保険会社を通じて後遺障害の有無・程度を認定してもらう方法(いわゆる「事前認定」)
被害者にとって手続の負担が少ないことから、通常はこちらの方法をとることが多いでしょう。被害者としては、治療担当医師に後遺障害診断書を書いてもらい、それを任意保険会社に提出します。すると、任意保険会社は、病院から取り寄せた被害者のレントゲン写真などの医療記録がある場合はそれらの資料とともに、後遺障害診断書を損害保険料率算出機構(自賠責保険の損害調査を担当する組織で、後遺障害の認定も行います。)に送付します。その後、算出機構が被害者の後遺障害の有無・程度を評価した結果を書面で任意保険会社に回答し、被害者は任意保険会社を通じてその回答結果を入手します。その回答は、「後遺障害等級認定票」と呼ばれ、結論(後遺障害が○○級であること)と理由(○○という障害が診断書やレントゲン写真などから認められること)が書かれています。
任意保険会社は、その認定票を元に、損害賠償額の提案をしてきます。その提案を受け入れるか、さらに交渉を続けるかなど、その後の処理は[傷害が治癒した場合]と同様です。
なお、後遺障害があると思われる事案では、傷害が治癒した場合と比較して、より慎重な対応が必要です。認定された後遺障害の内容・程度に不服がある場合には、異議申し立てを行うことができます。後遺障害の内容・程度が異なると損害賠償額も大きく異なってきます。異議申し立てを行う場合、追加の資料(担当医師の追加意見書等)を準備するなど事案に応じた適切な対応が必要になりますので、弁護士等に相談することをおすすめします。
自ら自賠責保険に保険金を請求する方法(いわゆる「被害者請求」)
自ら自賠責保険に保険金を請求することによって、同時に後遺障害認定を受ける方法もあります。「事前認定」の方法による場合、被害者は任意保険会社から医療記録開示等の同意書にサインすることを求められます。その同意書があると、保険会社は被害者のカルテや看護記録などの医療記録を取り寄せることも可能になります。医療記録の中には高度のプライバシーに属する情報が含まれていることもあり、同意書を書きたくないという方もいらっしゃいます。その場合は被害者請求をすることになります。
被害者請求の事案では、後遺障害の認定を受けた上で、後遺障害等級に応じた自賠責保険金が支払われます。その上で、自賠責保険ではまかなわれなかった他の損害について、再度任意保険会社に請求し、交渉することになります。
怪我の治療も終わり、保険会社から最終的な賠償金の支払額について提案がありました。その金額が本当に妥当かどうか、何か基準のようなものがありますか。
交通事故の損害賠償金を算定するにあたっては、様々な基準が用いられています。自賠責保険の保険金額の算定基準、任意保険会社が賠償額を提示する場合の算定基準、裁判で賠償額が決められる場合の算定基準など、それぞれ違った基準で算定されています。
慰謝料について少し具体例を挙げて説明します。なお、「基準」といっても、あくまで目安とされるにすぎず、具体的事情に応じて、金額も増減されます。したがって、必ずしも基準金額の賠償が得られるとは限りませんので、以下の算定例もあくまで参考とお考え下さい。
■慰謝料の算定例
[傷害の内容等]
傷害の内容:頚椎捻挫(いわゆるむち打ち症)
入院期間:なし
通院期間:3ヶ月
実通院日数:30日
後遺障害:なし
[自賠責保険の算定例]
30日×2×4200円=25万2000円
※基準…慰謝料は1日につき4200円。通常、入通院日数の2倍が対象日数となる。
※任意保険の算定基準も上記と同レベルか、多少上回る程度と思われます。
[裁判における算定例]
通院期間3ヶ月の基準金額=53万円
■慰謝料の算定例
[傷害の内容等]
傷害の内容:右大腿骨骨折等
入院期間:2ヶ月(60日)
通院期間:10ヶ月
実通院日数:120日
後遺障害:右股関節の関節機能障害(自賠責保険の後遺障害等級12級)
[自賠責保険の算定例]
1 入通院慰謝料
(入院分)60日×2×4200円=50万4000円
(通院分)120日×2×4200円=100万8000円
(合計)151万2000円
※但し、傷害による損害の支払上限額は120万円なので、実際に支払を受けられるのは、他の損害と合わせて120万円までの範囲にかぎられます。
2 後遺障害慰謝料
後遺障害等級12級の基準金額=93万円
3 慰謝料合計
244万2000円
※但し、実際に支払いを受けられる慰謝料の額は、傷害分120万円(上限額)+後遺障害分93万円の合計213万円となります。
※任意保険の算定基準も上記と同レベルか、多少上回る程度と思われます。
[裁判における算定例]
1 入通院慰謝料
入院2ヶ月、通院10ヶ月の基準金額=149万円
2 後遺障害慰謝料
後遺障害等級12級の基準金額=290万円
3 慰謝料合計
439万円
加害者にひき逃げされてしまいました。まだ加害者は逮捕されていません。この場合、賠償金を得ることはできないのでしょうか。
ひき逃げ事故に遭い、加害者が不明な場合でも、慰謝料などを受け取ることができる場合があります。加害者不明の交通事故でも政府保障事業という制度を利用して、一定の限度で国から金銭給付を受けることが可能です。また、自分が掛けていた自動車保険(いわゆる任意保険)会社に対して保険金を請求できる場合もあります。
現在の自動車保険は、支払い条件等の内容も複雑で、制度を理解するだけでも大変な負担になると思います。弁護士は、事案に応じてどのような制度が利用可能かアドバイスすることができます。この点でも、早い段階で一度弁護士に相談することをお勧めします。
高齢者・障害者の問題
86歳になる私の父は現在自宅で一人暮らしをしていますが、最近通帳や印鑑の置き場所を忘れる、同じことを何度も何度も繰り返すなど認知症と思われる症状が出始めました。また、父の家の近所の人から、最近父の家にセールスマンらしき人が出入りしているという話も聞きました。
父は、年金と所有しているアパートの家賃収入で生活していますが、アパートの管理も全くできていないようです。
このままですと、セールスマンに騙されて不要な物を買わさせたりしないか心配ですし、アパートの管理や、将来施設に入ることも考えると、今のままでは不安です。父の財産を適切に管理する方法はありますか?
お父さんの様子ですと、認知症により判断能力が低下している可能性があります。このような場合、お父さんに代わって判断する人を家庭裁判所に選任してもらうことができます(成年後見制度)。判断能力の程度により後見人、保佐人、補助人(後記の図参照)という人が選任されます。
お父さんの状況では、保佐あるいは補助の類型に該当する可能性があります。現在は、改訂長谷川式簡易知能評価スケールという認知レベルの目安を測る検査方法がありますので、早期に医師に相談して認知症の検査を行ってもらうといいでしょう。なお、補助の場合は、申立に際しお父さんの同意が必要になります。
保佐、補助の審判が下りた場合、一定の重要事項については保佐人、補助人に同意権、取消権が与えられますので、お父さんが保佐人、補助人の同意なく高価な物を購入したような場合には保佐人、補助人が売買契約を取り消すことができます。また、アパートの管理ができていないのでしたら、アパートの管理に関する代理権限を付与してもらうといいでしょう(ただし代理権の付与にはお父さんの同意が必要です)。
問題は誰が保佐人、補助人になるかですが、親族間で特に問題がなければ妻や子など親族がなることが多いと思われます。しかし、親族間の対立がある場合など第三者の専門家の関与がふさわしいと裁判所が判断した場合は、弁護士等が選任されることもあります。
|
後見 |
保佐 |
補助 |
対象者 |
精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者
ex.)日常の買い物などにも不安がある場合など |
精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者
ex.)日常の買い物などは問題ないが、高額の買い物などをする時には一人では難しい場合など |
精神上の障害により判断能力が不十分な者
ex.)基本的な買い物などは問題ないが、高額の買い物などをする時には不安がある場合など |
申立権者
(申し立てる
ことができる者) |
本人、配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、保佐人、補助人、未成年後見(保佐、補助)監督人、検察官、市町村長 |
本人、配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、保佐人、補助人、未成年後見(保佐、補助)監督人、検察官、市町村長 |
本人、配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、保佐人、補助人、未成年後見(保佐、補助)監督人、検察官、市町村長(本人以外の申し立ての際は本人の同意が必要) |
後見人等の
権限 |
代理権
(法律行為全般)
取消権 (法律行為全般。但し被後見人の日常生活に関する行為を除く) |
同意権
(民法13条1項に記載された行為について)
取消権 (同意を要する行為について、本人が同意無くして行った場合)
代理権 (特に定めた場合のみ。本人の同意が必要) |
同意権
(民法13条1項に記載された行為のうち特定の行為のみについて)
取消権 (同意を要する行為について、本人が同意無くして行った場合)
代理権 (特に定めた場合のみ。) |
消費者の問題
この前突然「布団の点検に来ました」などと言って業者が家に来て、布団の点検をしました。すると、業者は、「お宅の布団はダニの巣になっています」「このままでは体のあちこちに不快な症状が出て、最後には病気になってしまいます」などと言い、続けて「当社の布団は完全防ダニの布団です。」「月々3万円のクレジットを組めます」などと言って執拗に勧めてきたので、私も心配になり、ついつい100万円もする布団を36回払いのクレジットで買ってしまいました。
しかし、その後家族に話したところ、高すぎると怒られてしまいました。でもすでにクレジットを組んでしまいましたし、布団も受け取っているのですが、どうしたらいいでしょうか。
このように、業者が営業所以外で行う販売行為を訪問販売といい、特定商取引法の適用があります(ただし、同法の適用を受ける商品はあらかじめ政令で指定されています)。
訪問販売においては、法定の書面(契約内容やクーリングオフについての記載など)を受け取った日から起算して8日以内であればクーリング・オフが可能です(受け取った日を1日と計算しますので注意してください)。クーリングオフは、書面で契約解除の意思表示を業者に対して行います。8日以内に「発信」すればよく、業者へ届くのが9日以降でもかまいません。書面については、送った日や内容についても証明できるよう、内容証明郵便で送った方がよいでしょう。
仮に書面を受け取ってから9日を過ぎてしまった場合ですが、業者の渡した書面を確認すると、法や省令で定められた記載事項が記載されていなかったりする場合があります。記載不備や虚偽の記載のある場合は「書面」を交付したことにはなりませんので、書面の内容によってはクーリングオフの期間が経過していない可能性があります。
また、業者は「お宅の布団はダニの巣になっています」「このままでは体のあちこちに不快な症状が出て、最後には病気になってしまいます」などと説明をしていますが、いったいどのような病気になるのかもよく分かりませんし、そのような実証データなどもないと思われます。にもかかわらず、あたかも今の布団のままでは病気になってしまうなどと説明することは、「契約締結の必要性に関する事情」について不実の告知をしたとして、特定商取引法の不実告知による取消が認められると考えられます。
さらに、業者は、「当社の布団は完全防ダニの布団です」と自社の布団が特に品質が優れているかのように説明していますが、このような品質に関する事項についての説明が虚偽であった場合は、消費者契約法の不実告知による取消が認められると考えられます。
そして、実際に契約を取り消した場合は、クレジット会社に対しても契約の取消を理由に支払を拒絶することができます(割賦販売法。ただし、クレジット会社へ支払の拒絶をする場合は、契約が2か月以上の期間にわたり3回以上に分割して弁済する場合であることなど、一定の要件があります)。
なお、業者は「布団の点検」と称して最後には布団を売りつけていますが、訪問販売では契約の勧誘に先立って勧誘目的や商品名等を告げなければならないとされていますので、この業者の行為は特定商取引法に違反します。このような業者にはくれぐれも注意してください。
相続に関する問題
先日、父が死亡しました。相続人は、母と兄、そして弟である私の3人で遺言はないようです。
父の遺産は、自宅である土地・建物(価値は、5000万円)と、預貯金5000万円です。
法律上どのような遺産分割をすればいいのでしょうか。
まず、預貯金については、最高裁判所は、遺産分割等を経ることなく当然に法定相続分によって分割されるという考え方を取っています。
そこで、預貯金のうち、2500万円は母親に、1250万円ずつをあなた方兄弟が取得していることになります(但し、相続人間で協議して別の定めをすることは可能です。)。
次に土地・建物ですが、法定相続分は預貯金と同様です。
もっとも、母親だけが住んでいるなどの事情がある場合には、母親が相続するという遺産分割協議を行うこともあり得ることだと思います。法定相続分どおりに遺産分割しなければならないというものではありませんので、相続人間で合意ができれば、母親だけに相続させるような方法もあるでしょう。
土地・建物について法定相続分どおり分割するとすれば、母親2分の1、子供ら4分の1ずつという共有名義にするか、土地・建物を売却し、売却代金の2分の1を母親に、4分の1を子供らに分割することもあり得ます。
先日、父が死亡しました。既に母親が死亡しており、子供3人が相続人です。
遺言はありません。
次男は、父親の生前にマンション購入資金として500万円の贈与を受け、三男は事業資金として300万円の贈与を受けています。
父親の遺産は、3000万円であった場合に、それぞれ3分の1ずつの相続だとすると贈与等を受けていない私にとって不公平だと思いますが、そういうものなのでしょうか。
確かに、法定相続分はそれぞれ3分の1ずつですから、子供がそれぞれ1000万円ずつ取得することになり、次男はそれに加えて500万円、三男は400万円の利益を受けることになりそうです。
しかし、民法はそういった場合の不公平を是正するために、共同相続人中に、被相続人から、 遺贈を受けたり、 生計の資本として贈与を受けた者があるときは( 、 を特別受益といいます。)、相続発生時の財産の価額に、遺贈もしくは贈与された財産の価額を相続財産とみなした上で(みなし相続財産)、相続分の算定を行うことを定めています(民法903条)。
従って、相続時の財産3000万円に、生前贈与された額である900万円を合計した3900万円が、みなし相続財産となります。その3分の1が、相続分となりますので、各人の相続分は1300万円となり、実際の取得額は以下のとおりです。
もっとも、被相続人が持ち戻しを免除するような意思表示をしていた場合には、その意思表示は遺留分を侵害しない限度で有効とされますし、相続人間で合意が得られれば法定相続と異なる遺産分割を行うことは可能です。
長男 |
1300万円 |
次男 1300万円−500万円(生前贈与の額) |
800万円 |
三男 1300万円−400万円(生前贈与の額) |
900万円 |
刑事事件関係
22歳になる息子が逮捕されました。詳しくは分かりませんが、自宅に来た警察官によれば、覚せい剤取締法違反ということです。
今後、息子についてどのような手続きが行われるのでしょうか。○○警察署にいるということですが、面会や差入れはできるのでしょうか。
刑事事件の一般的な流れを示すと以下のような流れになります。
捜査段階において、息子さんは逮捕、勾留され○○警察署に留置され、警察官や検察官から取調を受けます。
警察官は、取調の他にも、引き当たり捜査といって、犯行現場の確認をするような作業を行います。また、覚せい剤の自己使用事案であれば、息子さんの尿から覚せい剤物質であるフェニルメチルアミノプロパン塩類が検出されるかという鑑定を行います。
捜査の後に起訴された場合には、正式な裁判を受けることになります。
覚せい剤の自己使用事案で、使用した事実を認めている場合、通常審理は1回で終了し、次回に判決が言い渡されます。否認していたり、覚せい剤でも共犯者多数の密輸事案ですと裁判も長くかかることが一般的です。
なお、面会については、「接見禁止」という決定がなされていなければ面会することができます。面会日時ですが、警察署でも拘置所でも、平日の午前8時30分〜午前11時30分、午後13時〜16時30分に面会が可能ですが、捜査の都合や被疑者・被告人の入浴日や健康診断の日は、面会できない場合もありますので注意してください。
面会できない場合でも差入れは可能です。もっとも一定の物品については、警察署や拘置所指定の業者からの購入を義務づけられている場合が多いので、差入たい物品が差入可能かどうかは、警察署の留置管理係等に事前に問い合わせを行うほうが望ましいと思います。
【捜査段階】
逮捕

勾留

勾留決定されると基本的には10日間、警察署等に留置される
(勾留延長 延長された場合、さらに10日間、警察署等に留置される )
軽微な事案、争いのない事案等については、延長をせずに、起訴・不起訴処分が決定されることもある

| 処分 ⇒ |
釈放 |
略式手続
(罰金の納付にて終了する簡易な手続) |
即決裁判
(起訴後、2週間以内に終了する迅速な裁判) |
起訴
(正式な裁判となる。通常、起訴後1ヶ月以上後に裁判が始まる) |
息子が覚せい剤取締法違反で、起訴されて裁判中なのですが、今後、刑務所に行くことになるのでしょうか。
また、祖母が危篤なのですが、息子は祖母のお見舞いのために現在留置されている○○警察署から出てくることは可能でしょうか。考えたくはありませんが、祖母が亡くなった場合に、葬式に立ち会うことはできるのでしょうか。
覚せい剤取締法違反といっても、自分で使ったのか(自己使用事案)、それとも密輸(密輸事案)したのかによって、法定刑の重さは違っています。自己使用事案では法定刑は10年以下の懲役刑ですが、密輸事案ですと最も重い刑は無期懲役刑です。
また、初犯なのか、再犯なのかによって刑も変わってきます。覚せい剤の自己使用事案で、初犯の場合には、執行猶予付きの判決が多いです。覚せい剤の使用が2回目、3回目であれば基本的には実刑判決が多いので刑務所に行く可能性は高いと思われます。また密輸事案も基本的には実刑判決が多く、その果たした役割によっても量刑は異なりますが、基本的には数百グラムの密輸事案でも5年以上の厳しい判決であることが多いですし、1キロを超える密輸事案では、10年を超える実刑判決が出される可能性も覚悟しておいたほうがいいと思います。
起訴後、裁判所が息子さんについて保釈を許可した場合に、保釈金を納付すれば、○○警察署から出ることができますので、お見舞いや葬式等に立ち会うことは可能です。 また、保釈ではなく、特定の目的を達成するために短期間、留置施設から外に出ることが許される勾留執行停止制度もあります。
いずれにせよ、事案の軽重と犯歴に加え、息子さんと祖母の関係等を具体的に裁判官に説明し、理解を得ることができれば、保釈や勾留執行停止を求めることができると思いますが、初犯の自己使用事案であれば可能性はありますが、密輸事案等で長期の刑が予想される場合ですと保釈も勾留執行停止も極めて難しいと思います。
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